2025年2月4日火曜日

Grace Kelly。

ビンテージTRIUMPHのタンクのオファー。
先ずは旧車なので剥離下地作業からです。
ちょびっとツーリングに間に合わせるべくピッチ早めでいきます。

預かった時点で結構綺麗な外装だったんですが、
そこは旧車なので剥いてみるまではわからんです。
で、作業始めてみたら。

うわ、こいつ外装パテで出来てるやんけ。
綺麗なアラスカホワイトの下にめっちゃ肉厚のパテが。
あー、どうりで立体エンブレム塗装に食い込んでる痕あるわけだ。
元の外装のアールに沿ってエンブレム湾曲してるので、
パテ盛られてる外装は結構な確率でエンブレム痕あったりします。
アールがパテで合わなくなっちゃうからですね。

半分剝いてみた。
この時点でブースの中粉でモッフモフ(苦笑)

ただ、凹みそんなに無いのよね。
しかも2回ペイントされてるけど2回共アラスカホワイト。
でもって2回共パテがっつり盛られてる。
ちょっと意味わからん。
予想するに、同じペインターが2回塗ってると思う。
だって手法無駄多いけど丸々同じだもの(苦笑)

粉まみれになりながら全部剥いてやった。
この時点では下地で取り返しつかない「何か」があって、
それを前のペインターが隠す為にこんなにパテ盛ったんだと疑ってるから。
じゃないとこんなにパテ盛ってる理由がわかんない。

全部剥いて初めて地金の状態のチェック。
あんだけパテ盛ってると何かあるんだろうとドキドキする。
隈なく掌で撫で回して凹凸の確認。
そして目視で深刻な錆の確認。

おぃ。

こはいかに。

ほぼほぼ地金やばい場所も無いし凹みもないじゃねぇか。

まぁ結果オーライで下地均して凹みだけにパテ入れて
今回エンブレム使用しないので穴埋めてちゃっちゃと1色目の黒入れる。
あのドカ盛りのパテ、なんだったんだろう。。。
ま、いいや。取り敢えず先ず黒。
で、両側面磨いて肌無し鏡面にセッティングする。
この磨き込んで鏡面にするのが今回大事なんす。

何故なら今回この部分クロームペイントになるからです。
ゆず肌のクロームとか見た目最悪になるので
こうして鏡面の黒の上にクローム塗料かけていきます。

うん、良い映り込み。

この塗料かなり特殊なので
各種セッティングにはかなりの気を遣います。
下地の完全硬化だったりフラッシュアップのセッティングだったり。
でもって塗料の値段バチクソ高いっす。
そしてベースが鏡になるので
以降のペイントのゴミの付着が絶望的にアウトになります(苦笑)
要はこのタンク終わらせるまで他の全ての作業NGになります。
ブースの外で埃たててそれ付着したらサヨナラcolorですからw

一旦安全牌でクローム部分だけでクリア入れて、
翌日軽く足付け全体に施してガンガンにクリアコート。
こいつを砥ぎまくって段差無くしてフラットにして
いよいよ最後の工程に入ります。

納期急いでいたので画像はしょりますw
これにて完成です。
ロゴをフリーハンドで描いて
子持ちラインをクロームの縁に引っ張って
それをクリアコートで再びがっつり埋めて
ガシガシ砥いで鏡面にしてポリッシュ。





このTRIUMPHロゴは1907年創立当初のロゴ。
オーナー様からのオーダーです。

昨年復活ロゴでレセプションあったみたいですね。
私も今回オーダー受けるまで知りませんでした。

ネット社会、便利なものです。
インストールしてフリーハンドで描きました。

ツーリングデビュー、間に合いそうで良かったです。
車輛のトータルメンテはTakumi Classicsの加藤さん。

昨今ビンテージはエイジングペイントのハクつける方が多いですが、
こういう洗練されたシャキッとしたカスタムペイントもいいっすね。
むしろ昨今ではこっちの方が目立つかもです(笑)

思い切りこいつで疾走してください。
K様ご用命ありがとうございました。