2017年9月29日金曜日

何故こんなにライン位置違うんだ。

ペイントの剥がれが発生して入庫したTRIUMPHタンク。
取り敢えず剥離する前に採寸です。

ん?左と右でこんなに位置違うんか!
なんぞこれ。

左はかなりピシッとライン見切ってるのに

どういうワケだか右はライン迷いまくってる。
どうした?前のペインター。
何か拾い食いしてハラ壊したか?
浮気バレたか?

だが始まりと比較的同じ位置に収束しちょる。
終わりはかなり高低差ある結末。
前から見切り線のテープ貼り始めて
後ろに向かってハラ痛くなったか浮気バレたに違いない。
ご愁傷様です。

これではしっかりしたラインを見切れませぬ。
オーナーに電話して装着パーツ持ち込んで戴く。
新たに迷いのない見切り線やるにはそれしかないっす。

で、持ち込まれたパーツ全部付けてみて納得。
これ、例のベルトバックルとも呼ばれている堂々としたエンブレムつきますが、
このエンブレムが左右それぞれ固定ボルトの穴位置が違うのです。
上の絵だと左右とも同じやんけ、と思うかもしれません。
でも左右進行方向の矢印が違います。
つまり左右それぞれ高さ合わせて見切りライン貼ると
このエンブレムの穴との位置関係は全く違う情報になってしまうのです。

左はかなりシャキッと真っ直ぐ貼られていたので
前のペインターは左から貼ったんだと思います。
で、右をやろうとして前から位置合わせてスタート。
するとどういうワケだかエンブレムの穴位置にラインが来る。
「ふぬわ!」となる。
反対側を慌てて確認する。
穴にはラインがかかってない。
前側のスタート位置を観る。
合ってる。
右を見る。
穴にしっかりラインがかかってる。
「ふぬわ!」となる。

穴位置はメーカー純正だから正確であると思うのが常。
なので穴にかかったラインを大幅に下げる。
でもスタート位置は変えられない。というか変えたらダメ。
もうこの辺で完全に脳内は混乱の極みだったんでしょう。
思考も指先もヨレヨレで後ろへと向かいます。
そして着地。
結果、ずれました。
だがそれに気付く思考能力はすっかり失っていました(苦笑)

こんな感じでしょう。
ホント、ご愁傷様です。

装着パーツお預かり出来たので判明した事です。
まぁ全部パーツ付くと見える見切り線はお尻のエンド部分だけなんですがw


それでも見えない場所も
今回は迷うことなく「真っ直ぐ」です(笑)
K様、お待たせしました。

2017年9月28日木曜日

中3の娘の夏休みの宿題

中3の娘の夏休みの宿題の一つ、スポーツ観戦とその感想と考察。
娘の提出したレポート、MotoGPにおけるドビツィオーゾの卓越したブレーキングテクニック。

もうあいつダメだと思う。


「最終コーナーで絶対攻めに来るマルケス予測して敢えてライン空けてマルケス誘導して
オーバースピードで大きく膨らんだマルケスとライン交差させる形で立ち上がって
そのまま先頭でテイクして勝利掴んだドビはいぶし銀過ぎ」

みたいな事が書いてあった。


もうあいつダメだと思う。

でまぁ、早速仕事復帰。

「明日用事あって東京出るんだよね。シートカウルだけでも先行で仕上げられない?ね♪ね♪」
盟友46さんより催促される。
我がGUZZIをそろそろ頼む以上、このオファーを無下にするワケにはいかず、
泣きながらSeiko終わった夜より色入れてクリア吹いて強制乾燥で炙って筆でライン入れて
翌日の午後引き渡す事にする。
我がGUZZIが無事に終わったら「無理」と告げる勇気を手に入れる事にする(笑)








とか言いつつ、多分一生こう言ってる気がするw

Grand Seiko Blue











以前にこちらにてお知らせ差し上げてはおりましたが
銀座和光の服部時計店内のGrand Seikoブースに設置する壁面
及び什器のペイント、無事に終わりました。
その間2輪業者及びユーザー様には
納期遅延等ご迷惑おかけしました。
ここにお詫び申し上げます。

槌で叩き出されたハンマリングに鏡面ポリッシュされたアルミ。
これを槌目一切を消して下地を仕上げて来たMAio-108さん。
キャンディ9層でフラット仕上げとはいえど
下地が見える状況なので鏡面の仕上げは本当に大変だったと思います。
毎晩4枚ずつ運ばれてきては夜中に対峙してペイント、
翌日夜にそれらが引き取られてまた4枚入庫。
これを繰り返した日々。
今は無事に終えた安ど感でいっぱいでございます。

ホントはここらでちょいとお休み戴いて少し走りたい次第ですが
この作業で皆様をお待たせする結果になってますので
すぐ仕事に戻りますです(苦笑)

Special Thanx:ツネちゃん

2017年9月24日日曜日

鬼が笑う来年の話ですが。

ちょっと早いけど業者様及びユーザー様に告知です。

来年1月末、沖縄のお墓を処理してご先祖様をこちら東京へとお運びする事が親族間で決まり、
早い話ですが1月末のほぼ1週間お店をCLOSEDとさせて戴きます。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが沖縄は戦前までは土葬の文化でして、
お墓も「亀甲墓」と呼ばれる女性の子宮の形をしたとても大きなものでして。
おじぃやおじきが亡くなった時、親族で一番年上の孫が自分である事もあり
納骨で中に入ったのですが、
戦後亡くなった遺族とは明らかに骨壺の大きさの違うご先祖様が数柱いらっしゃいまして。
これを東京へとお連れするには勿論まんま原寸大の
「しゃれこうべ様」でお連れするワケにもいかず、
それぞれ火葬し直して遺灰にさせて戴かねばなりません(苦笑)


現在親族全員こちら東京に移住している事もあり、
コザの実家はもう既に賃貸で貸している状態でもあります故、
毎年お墓参り出来る距離とは到底言えない距離である事から、
この度一大イベントになりますがご先祖様大移動という事になりました。


行政の手続き・お坊さんの手配・火葬場の作業・お墓の引き渡し等
4日程度で済ませる手筈で現在色々調整しておりますが、
ワタシとしてはこれでコザという街とはある種のお別れとなりますので、
あとちょっと一人だけ滞在して
最後のコザを目に焼き付けて帰ろうと思っております。


という事で来年の話ではございますが、
1月の第4週の週末から第5週半ばまでの1月いっぱい、
業務の一切をお休みさせて戴きます。

個人的な事ではありますが、何卒ご了承戴けますと幸いです。
宜しくお願い致します。

STUPID CROWN
Custom&Paint Factory
Mune.T.

追伸:1月26日とか27日、1月30日あたり沖縄で
「ウチ泊まってもいいさー」って人、いたら超嬉しい(笑)

和風総本家なのかアステカ文明なのかどっちだよ。

超絶ペイントGUZZIのオーナー、亀ちゃんよりお仕事入る。
亀ちゃんはリクガメとフトアゴヒゲトカゲをペットとして飼っている。
前回のペイントで左サイドカバーには亀施したけど
そういえばフトアゴさんはモチーフとして入れてない。
で、前回赤富士描いた右のサイドカバー、
あちらをスペア入手したんでフトアゴさんお願い、というオーダー。

画像では新入社員歓迎会で早く乾杯したいのに新入社員が
「あ、すんませんビール苦手なんでモヒート頼んでいいっすか?」で
生4つは速攻で来たのにモヒート全然来なくて乾杯し損ねてる
そんなサラリーマン達にしか見えませんが
これがそのフトアゴさんです。

ではやってみましょうかね。

まずベースカラーの黒塗って
フトアゴさんの塩梅の良い画像引っ張って来て
それ見ながら「あたり」つけてラフでシルエット落とし込みます。
で、その中の部分全部下地のプラスチック見えるまで彫っていきます。

折角塗ったもの彫刻刀で彫っていくなんざ正気の沙汰ではないです。

彫り終えました。
ワタシ、ガキの頃縁日の型抜きキラーだったので彫るのは得意です。
最終的にテキ屋にマークされて出禁喰らった程です。
小学生時代世田谷におったんですが
仕方なくチャリ飛ばして目黒不動尊の縁日にまで遠征して
そこで型抜きキラーしてた程です。
そんな話は何ら関係ありません。
ペイントしたモノを彫るという行為自体が正気の沙汰ではない、
そういえば話の論点はそこでした。

でまぁ彫った中の部分も黒く塗っておきます。
何で彫ったかというと螺鈿細工施すからです。
夜光貝は薄いとはいえペイントで埋めるには肉厚過ぎるので
ここで段差つけて少しでも下に沈めておかないとならんのです。
一番最初にトライした螺鈿細工。
ワタシのドカのシートカウルです。
これの時はクリアで強引に埋めようとしました。
しかし肉厚過ぎて吹いても吹いても埒が明かず、
仕方なしにクリア硬化剤入れて作ってわざと半日置いて
少しドロッとした状態にして垂らして埋めるという
物凄い荒業に出ました。
おかげで埋まりましたがクリアの塗膜の肉厚の限界を軽く超えていたので
数年経過してクリアが割れてまいました。。。。
自分の車体を実験のラボ代わりにして得たデータですので
ユーザーさんのオーダーでは同じミスはするまいと
彫刻刀で彫る狂気の沙汰をする運びとなった次第です。

螺鈿を形に適したピースを拾ってはワニスで固定していきます。
実は上半身でアワビ貝きらしてしまい
下半身別発注のアワビさんです。
個体差の模様の違いがありますが
自然物ですので逆にそれ愉しんでください(笑)


貼る事丸2日。
ようやく埋めたのでクリア塗って段差や隙間を埋めます。

で、真っ直ぐに研ぎ込んで最後のクリアコートでフィニッシュ。
本物の螺鈿工芸は漆で一旦模様も全部塗り潰してしまい
そこから模様が見えるまで磨き込んでいく、いわば「引き算」の工法ですが
ワタシのペイントはその本質が「足し算」故、
彫刻刀で掘り下げるという「引き算」を用いなければならないのです。

「サイドカバーでしょ?結構平面だから出来るよ~♪」
等と安請け合いしましたが
そういえばGUZZIさんは多角形が大好きなメーカーでした。
微妙にエッジあって貼るのかなり苦労したのは内緒です。

あと本物の螺鈿細工は漆と貝が面一なのですが
こちらは足し算が本質のペイントですので
クリアで鏡面仕上げです。

螺鈿、正直見てて飽きません。キレイっす。
しっぽだけ赤味強い個体のメキシコ産アバロン使いました。
メインは沖縄石垣産の夜光貝です。


うん、ワタシのドカに装着しても何ら違和感、無い(笑)


亀ちゃんに「出来たよ~」と連絡すると
GUZZI乗って取りに来ました。
というかその場でサイドカバー装着してみました。
えぇそうです、ワタシも亀ちゃんも「待てない子」ですwww
「おおぉ!タンクの旭日旗がアフリカの太陽になった!」
「うひょー!朝の体温上昇させてる行為だこれ!」
「何かもう野生の王国のナレーションしか聞こえてこねぇ!」
「久米明!!久米明!!」
お気に召して戴き光栄しきり。


だがやっぱり思った。
全身和柄がコンセプトだったはずのこのGUZZI。
フトアゴさんの影響力はやはり強い。
ぶっちゃけどこをどー観てもアステカ文明(笑)

2017年9月11日月曜日

すみません、今年2回目の「鎖国」します。

入庫のオーダー、もう壁いっぱいです。
ワタシはこの世に一人しかおりません。
ワタシも皆様と同じで1日24時間しかございません。

物理的に絶対こなせないので
9月・10月入庫ストップとさせて戴きます。
尚、事前に入庫予定で打診済の業者のものはOKです。
それを踏まえた上での満杯状態ですので。

但し初打診のものに関してはその許容の範囲ではございません故、
仮に発送等で強制的に送られたとしても
手を付けるのは絶対に11月からとなります。
何卒ご了承をば。

金沢箔とVELOCETTE。

毎度の深夜に一人対峙する箔貼り。
先ずはタンク片面にワニスを塗り乾燥時間は気温と湿度にその都度相談。
「いざいかん」というタイミングで箔を載せて定着させ、
和紙や色々なものを用いて圧迫して定着させる。
そして柔らかい刷毛で余分の箔を振るい落としてライン入れ終了。

このタイミングと置き時間で適切かを確認して、
1服入れて英気を養い集中力を高めていざ反対側へ。

と思ったら今回のVELOCETTEのライン、まさかの一筆書き。

距離長い。左右のバランスむずい。乾燥時間の段取り難しい。

一気に行くから全く休めない。

集中し過ぎて無呼吸状態で4回死んだ。
辛い。きだにんのバカ。

まぁ冗談さておき中々レアなラインパターンですが、
左右それぞれでなく一筆書き超ロングディスタンスなので、
いざ貼り始めたら休みなしでとことん集中なので、
左右それぞれのラインよりも結果疲れます(苦笑)

我が工房では海外製のゴールドリーフ(実は真鍮箔。肉厚で作業しやすい)ではなく、
金沢箔の本物の純金使用しています(真鍮箔に比べかなり薄く貼るのが難しいです)。

でもクリアコート入れた仕上げの輝きは流石の純金で美しいです。
折角の日本人ですからね。

あぁ和風総本家w




シートのエンド部へのロゴ入れなんかも出来まする。
フォントが複雑で断られたとか、
そのロゴのステンシル持ってないよで断られたとか、
オリジナルで何か入れたいとか、
そんな事でしたらご用命くださいませ。
ワタシ、ガキの頃縁日の「型抜き」得意中の得意でしたので、
だいたいのモノはアートナイフで切り出せるかと思われます(笑)
但し、染料はメーカーラインナップの基本色のみしかないので、
「もう少しトーンの落ち着いたゴールドで」とかは難しいです。
そこだけご容赦ください(苦笑)
バイク工房「蔵」さん、ご用命ありがとうございました♪

2017年9月7日木曜日

運慶快慶と子わっぱ。

こないだの日曜日、朝から魚肉の森のSRのEg組み上げでガレージ作業。
鬼教官矢部とワタシ2名に睨まれながらの作業は
さぞかし若者は緊張し、そしてくたびれた事であろう(笑)
状態の良くなかったクランクケースをドナーから移植した故に、
最後にオイルラインが元位置に届かず部品発注待ちとなり、
本日全て完了までいかなかったのはちょっと予想外ではあったが、
だが徹底的指導で得たものも多かったと思う。
そうだろ?森。(イェッサーへの強制的誘導w)

カツカツのスケジュールではあるが、
1か月前よりやると決まっていたからには無論手伝うよ。
それが先に経験した者が次へと伝えていく一番の方法論だから。

「有難いと感じたのであればそれを自分より若い次へまわせ」
これ、魚肉スピードのスローガンだかんね。

そんだけだ。

心地好く疲れたよい1日であった。
で、鬼教官は終始スパルタ指導していた為、

画像は1枚たりとも無いwww


2017年9月1日金曜日

無敵艦隊、墜ちる。

本日ブースに水撒いて掃除していた時の出来事。

「!!!1番艦浸水!!!!」
「しまった!!いきなりで何も対応策ないぞ!!」
「2番艦も浸水!!!!」
「何だと!?こんな事が2つも一気にやってきたのではもう何も成す術がない!!!ぐわあぁぁぁ」

純国産の質の高さ故に3年も過ごしてしまったが為に、
無敵艦隊と勘違いし主力部隊はその性能を酷使。
それにも純国産という品質の高さから音を上げる事もなく
ただひたすら任務に全うしていたが、
その最期は船体が真っ二つに裂けて沈没するという壮絶な終わりであった。



安全靴の話です。

流石我らのミドリ安全靴。
チャイナ製が出来ない事(3年酷使)をやってのける!
そこが痺れる憧れるぅぅ!!

ありがとうございました。



慌てて靴買いに行ったら
「ナニコレ丸くて木靴みたいで可愛ぇ」で買ってきたが、
ペインターはどうせ1週間でパテ粉やサフェや水撒きで汚れるて。
そしてこれ、よく見たらチャイナ製。
こいつ、1年もたないだろうなぁ。。。。