2024年12月4日水曜日

Tonight, Tonight。

エキセントリックモーターサイクルのケンタからのご依頼。
今年のロッドショー車輛。
何とお題はアールデコ。
絶対私のGUZZIの影響ではないのは断言出来るが
最近ちょっとArt deco流行の兆しがありますな(笑)

メッキとパールホワイトのコンビネーションで。
「メッキ残しのデザインどうしましょうかね?」
ケンタがワンオフで製作したテールランプ観て思いつく。
「このウイングをインストールしない?」
エキモにしては車体のバランスが非常に美しいのと
クランクやドラムに彫金入るとの事なので
タンクは大きなインパクト1つでエレガントに振った方が良いと判断。

ではやっていきます。

デザインの落とし込みで一番シビアな作業が
この左右しっかり対照で落とし込む事。
実は純正でもこれ難しいんです。
ウチによく入庫するBMWは左右ちょっとバランス違うんす。
それを対照にライン入れるの、慣れが必要なんす。

で、ケンタの製作したタンク。分割やね。
でもって左右ほぼ同じシンメトリーで出来上がっておる。
で、分割だからこんな風にきっちり並べて採寸出来る。
お前、神か!!!w

今回メッキ残しなので
この一番最初のサフェ入れの時点でデザインが決まる。
めちゃくちゃ慎重を要する作業になる。
左右完全に面が出ているポイント見つけ出して
それ以外を交わす様にデザインを施していく。
マスキングが決まれば残りを慎重に足付けする。

サフェ入れ・ギリギリまで段差落として砥ぎ・色入れ。
一旦これでクリア。
乾いたらメッキ部分しっかり指紋等拭き取り脱脂してそこもクリア入れ。
たっぷり吹き付けてなるべくなだらかにしておく。
そしてまた後日段差無くなるまで砥ぎつけて最後のクリアフィニッシュ。
これで全てが鏡面になります。

リアフェンダーもメッキ残しのコンビネーション。
こちらはエッジに焼き箔施しました。
タンク同様段差落として砥ぎ上げてクリアの繰り返し。

メインパイプが美しくアール描く「馬の背」フレーム。
こちらもいつも通り溶接部フルスムージングにフルスクラッチ。
この美しさはパールホワイト1色で十分な色気でしょう。

で、ロッドショー当日。

おぉ、綺麗に纏まってるなぁ!!

このケンタが先にこさえていたテールランプシェル。
このウイング観てタンクのメッキ残しもこれで行こうと決めたのです。

綺麗なアール描いてるメインフレームや後ろの電装ボックスまで
全てが綺麗なアールで構成されているようにデザインしました。

そして前後ドラムやEgクランクケースに施された彫金。

派手過ぎず控え目過ぎる事もなく絶妙なアールデコ。

各部のワンオフ制作の真鍮パーツもエレガントでいいね!

そしてケンタ、2年連続ダブルタイトル。
私もこれで疲れが吹っ飛びましたよ、うん。
とはいえ、昨年の車輛とあまりにもジャンルが違うので
同じ製作者だとあまり世間が思ってくれないのがケンタ(笑)
でも昨年の車輛も今年のJOINTSではベストドメスティック獲得してるのよね。
で、5年前も横浜でベストドメスティック獲ってるけど
それもそれでまた「どうなってんだよこれ」だったしw

とにもかくにもケンタ、2年連続ホントおめ♪



2018年には車坂下の野呂さんの車輛でベストドメスティック
同じ年46さんの車輛でベストカフェレーサー。
野呂さんのは翌年のJOINTSでは3冠だったものね。
で、別のショーも入れればケンタはこれでドメスティック獲得3回
この時のショーは同じく46さんの車輛がベストユーロ。
神戸開催のNEW ORDERや名古屋のJOINTS、
過去に九州で開催されていたFTW。
横浜以外含めても結構な台数のアワードに携わらせて戴きました。

もうね、ペインターとしては幸せこの上ないです。
打数少ない割には打率めっちゃ高い。
こんなに嬉しい事はないです。

毎年生み出すの苦しいし、年々加齢で辛くもなっていくけど、
来年もまたこの時期チャレンジするんだと思います。
枯渇しない様に頑張ります(笑)