2025年10月30日木曜日

Always On My Mind。

つい最近やっとこウチに戻って来たGUZZI。
シフトはめちゃくちゃシルキーに入る。超問題ない。
だがクラッチがクッソ重い。
こればっかりは1速しか入らなかったんだから
ケンタも改善しようがない。
だってシフトがUPしないんだもの(笑)
という事でここから先は私がモディファイする事にする。
まぁ自分の車体だからね。

一度油圧クラッチという文明の利器に逃げようとした。
あの重さは長距離絶対無理だったので(苦笑)
でも思いとどまった。
折角ワイヤーやロッドという前近代的な、
でもおかげで出先で何があっても調整で帰れる機構なんだから。
フルトラとかメンテフリーなのは重々承知。
でもおかげでそのユニットがパンクしたら
その場でもう不動車レッカーが確定となる。
だから私はポイントのままにしてる。
接点復活とかギャップ調整でどうにか自走出来るから。
これが近代的なブラックボックスの破損となるとお手上げだ。
ドチャクソアナログなものだはあるのだが
だからこそ路上整備で帰れるというメリットもあるのです。

という事でワイヤー引きのレバー比を検証検討することにした。
今我がGUZZIは新品クラッチで世界一フレッシュな状態。
ここを「基準点」として遊びの調整が可能な範囲で検証する。
単板クラッチ故に「こんなものか」で疑ってたものが
ここにきて範囲の設定値で明確なものとなる。
という事で少し計算してクラッチプッシュアームと
受けのワイヤー固定ステーを20㎜ずつ伸ばしてみる。
伸ばすだけでクラッチレバーの重さが激変する。
ただし伸ばし過ぎるとクラッチが切りきれなくなる。
でもってその辺は全然大丈夫な範囲だった。

レバーもカッコいいので50年代のイタリアンのレバー採用したが
これが凄く遠いのだ。
遊びまだまだ許容あったので
こっちも引きしろ手前に持ってきたところで固定すべく
レバーに「ぼっち」を溶接でこさえて
手前で常に稼働するように位置固定する。
文字通り「ぼっちザロック」だwww

こっちが反対側のフロントブレーキのレバー位置。
このレバーめちゃくちゃカッコいいんだけど
めちゃくちゃレバーが遠い(笑)
まぁこっちはフロントブレーキで常にアクションする方ではないし、
元より私ドラムブレーキの車体にしか乗ってないので
これでも何ら問題ない。
これをどうにかしてクラッチの軽減図ろうとしてるという事です。

で、20㎜外にオフセットしたから
バッテリーケースの台座のL字を削っちゃう結果になてる。
要はワイヤーの受けが只の平板で支えてる事になる。
あの強烈な力点を平板で補えるワケがない。
なので裏当てとして帯板のステーをこさえる。
バッテリー台座自体は1㎜ない薄い鉄板なので
この20㎜近くある帯鉄なら力分散できるでしょう。
で、裏当てで付けたら全く見えないので
黒染めスプレーでっちゃっちゃと造るw

うん、これならひん曲がる事も皆無でしょう。
モディファイってこういう配慮の積み重ねになりまする。

チェック。
何ら問題なし。
クラッチの重さ激減。
これなら長距離余裕で乗れる(笑)

リンケージ関連全部私でペイントで済ませちゃった。
本来こういう場所メッキなんだろうけど
メッキ出すと何週間戻って来ないかわからないので
ロッドショー車輛入庫しててんやわんやになったらおしまいなので
突貫で塗って翌日もう組めるしで
殆どペイントで終わらせちゃったっす。
何故なら私がペインターだからですw

ハンドルも外して突貫で2日で仕上げた。
多分腹据えてしっかりやった方が結果良いだろうと
この2日間全部を自分のGUZZIに費やさせて戴きましてん。

左のスイッチの配線の中通しも済ませてこれにて全て完了。
やっぱ集中して取り掛かった方が効率はいいわね。

メンドくさいからリンケージほぼ塗っちゃったけど、
流石にシーソーペダルと左右レバーはクロームかけないとだね。
この3点はメッキ屋に出すとしましょう。
まぁ戻って来た時にはロッドショーでわやくちゃだから
タイミング良しとします(笑)
クロームで綺麗になって帰っておいでー

腹据えて2日間集中してモディファイしましたが
正直とても愉しゅうございました(笑)



さて、明日からまた仕事にがっつり戻りましょうかね。





Tumshukuru Mungu。

先週もまぁまぁ色々仕上げて納品しました。
先ずはレストアの方から。
日本では珍しい車種かもしれません。
1960年代半ばに生産されていたDUCATI CADET 100。
ドゥカティがこんな小排気量の2スト造ってた事、
もしかしたらそれも知らない方も多いかもしれません。

当時物のこのフェアリングとコンビでのご依頼です。
これ可愛い♪

しかしこのタンク、
何だかオリジナルよりも遥かに黄色ライン太い。

色々資料とか画像漁ってみたんですが

線そのものがシャンパンゴールドのものとか

まぁどれがオリジナルなのかわからなくなる位ある(苦笑)

あ、これはライン黄色だね。

当時のカタログ。
こうなってくると解像度低くても
カタログの画像が一番オリジナルに近いのは間違いなさそう。

そこでインスタで繋がってるイタリアのペインターに訊いてみる。

どうやらラインの色はシャンパン時代とイエロー時代あったらしい。
なのでそれはどっちでも正解なんだそう。

んじゃああとはグラフィック整えればOKかな。
助かりました、あざまっす。

んでは色々彩色と採寸したので剥いてみましょうか。
ぐぬおぉぉっ!!

めっちゃ潰れたままめっちゃパテ入ってるやんけ・・・・

結果、左右どっちも結構な凹みあった。
勿論引っ張り出した。
そしておびただしい数の錆の虫食い。
貫通する程ではないが結構深いので
PORで封じ込める。



そして世界中の小排気量の定め。
おそらく年落ち程よき時期に雨ざらしにされてたんでしょう。
タンクの底部分かなり激しく虫食いだらけ。
一応水没テストでエア漏れなかったので開通はしてなかった。
がっつりたっぷりPOR塗って永久に封じ込めます。

タンクのトンネルが歴代の杜撰なペイントのせいでガッサガサだったので
徹底的にこそぎ落としてPORで錆止め。
これで手突っ込んでもガッサガサで皮膚切れません
(歴代ガッサガサ繰り返すとマジで手入れると皮膚あちこち切れます)

まぁそんなこんなで完成。
いつもの如く途中過程撮るの忘れました忙し過ぎてw

でもってミニフェアリングはマジで撮り忘れました(苦笑)

今となっては希少な小排気量イタリアンです。
末永く愉しんでくださいませ。

カスタムペイントの方はこいつ。
これ観て既視感ある方はウチの古くからの馴染みですね。

15年近く前エキモで塗ったこいつのオマージュですね。
同じエキモからの依頼だったのでまぁ良し、かな。

この形状のフレイムス、最近一番オーダー多いです。


フレイムス丸くて炎が細くて長いタイプっすね。

フレイムスは時代によって実は結構流行あったりします。
前に塗ったショーバイク以降しばらくこの形状のオーダーなかったんですが、
リバイバルですかね、最近ほぼこれだったりします。

勿論オールドスクールとかニュースクールの違いとかありますが、
20年前はこういう形状が主流でした。
フレイムスが何度も分岐したり

フレイムスの形状が丸型ではなく楕円形のスリムな感じ。
今はこっちのオーダーの方がマイノリティですね。

派生形としてこんな感じのトライバルも一時期流行しました。
TATTOOでもこんなトライバル流行りましたよね。
今むしろ全然観なくなりましたけども。

筆引きだとこんな奇行種もあったりします。
フレイムスの内側にフレイムス仕込むという
ちょっとエッシャーの騙し絵みたいなギミックです。


また時代がめぐるのかもしれませんね(笑)















2025年10月26日日曜日

People Are Strange 。

納品の際某大型ホームセンターに寄る。
いつもの癖でフロアだけ記憶しておいて買い物に行く。
戻って愕然とする。
車検で代車だったそういえば。
代車、スマートキー壊れてて反応しない。
1台ずつ直に鍵差し込んで確認する。
もう窃盗団にしかみえない。





あと納品行った業者。
「あ!とうとう逝ったんすね廃エース!」
言うな。
カタパルト発進でぶっ飛ばすぞ。



2025年10月22日水曜日

Take On Me。

GUZZI帰って来たと思ったら
息子のSRも車検で入庫。
純正マフラー戻しとか灯火器とかアレね。

っちゅう事で日曜日に2人で酒呑みながら作業。
ロケットは光軸調整で邪魔だから毎回降ろしてる。
戻し作業と言ってもカウル降ろすのと
ナンバープレート下にリフレクション挟み込むのと
純正マフラーに戻す位。
まぁあとは2年に1度の丁度良い儒整備やね。
工房で2人のお好みの音楽流しながら吞みながら色々とね。

しかしまぁ、親子揃ってデカい魚抱えて走ってるなw
元より息子のSR500は私の24年来の愛車だし
その時からヴェロセットのフィッシュテールずっと付けてたし
今の私のGUZZI更に2匹に増えてるしw


月曜日車検に臨んだが
ヘッドライト光量が足りずに2回不合格。
あと1回落ちると本日終了となるので
慌ててヘッドライトHiビームをバッテリー直結にして
3回目で無事合格。
嬉々として息子は同棲してる彼女との家へと帰って行った。

ま、これもウチっぽいモーターライフか(笑)
気を付けてモーターサイクル楽しめよ。




2025年10月19日日曜日

You Will Never Be One Of Us。

我がGUZZI。
ハンドクラッチに戻すべくケンタの所へ持ち込んだのが2月。
そしてJOINTS終わって取り掛かってくれたのが4月。
が、どういうワケだか1速入るけど以降入らない。
シフトダウン出来るけどアップがまるで出来ない。
という事でミッションをYOKO TECHよこっつに診断してもらう。

すると後日、アウトプットシャフトのこんな画像来た。

ねじ切れてるやんけ・・・・・
幸い純正出たから新品調達出来たけどさ。
よこっつも組んだメカに問い合わせたんだとさ。
そしたら「そんなになってなかった」、と。

私、完成してからまだ180㎞そこらしか走ってないんだけど。
180㎞でこうなるんですかそうですかそうですかw

まぁいいよ、新品出たし。

無事なミッションもフリクション軽減させるべく
全てにWPC加工施す。
2度と開けなくていいように、で念の為ね。
また降ろして繰り返す事考えれば安いものだ。
で、我々業者はWPC加工の驚異を身をもって知っているし。

ただ、新品でもさっさと組めないのが海外メーカー。
縦溝のスプラインがキッツキツでギア組めない(苦笑)
よこっつが超絶慎重に縦溝開口してくれた。
1/100単位の匠の技あざっす。

で、精度出しながら組付けてくれる。

ねじ切れてないミッション完成。

んが、組んでみてチェックしたところ
全然調子よくない。
クラッチが全く切れていない事がここで判明。
またミッション降ろす。
先に組んだメカにまた問い合わせる。
「新品に変えてあるよ」
画像観る限りそれは事実っぽい。
メーカーの刻印まだ擦り切れずに残ってるからね。
じゃあ何が原因なんだろう?

よこっつが検証して理由が判明。
GUZZI純正クラッチは新品で厚さ8㎜。
交換時期の摩耗で7.5㎜。
で、この新品クラッチ7.3㎜しかない
(´・ω・`)

新品不良品だけど、前のメカ試走してないのね。
試走すれば1発でわかるクラッチミートじゃん。
ハンドチェンジそんなに乗りたくなかったって事でしょうね。
私ゃ仕上がりに信頼置いてたからさ、
「単板クラッチってこんなにシビアなんかな」って思っちゃってたよ。
脚操作のロッカーで数ミリ単位の超スパルタンな駆動だったもの。
てっきり私がハンドチェンジ下手になったのかと自分責めちゃったよ。
でも考えてみれば私お客さんのハンドチェンジ当たり前に乗ってるやん。
ジョッキーでもスーサイドクラッチでも問題なく乗ってたやん。
イベント出展でお台場とか横浜まで余裕で移動してたやん。

自分責め過ぎて違和感に気付かなかったわ。
というより先に組んだメカ信用し過ぎてたわ。

で、クラッチプレートから組み替えるんだが、
旧来のギアだと歯が微妙にきっちりしてない。
どうやら生産途中からより綺麗に嚙み込める対策品に変わったらしい。
こっちが新品クラッチに従来スプラインのコンビ。
よこっつ×つけてるね。

こっちがどちらも対策品で組んだクラッチ。
ギアの歯がしっかり奥まで噛み込んでるのがよくわかる。

対策品の方が遥かに良いのは誰が観ても明らかなので
よこっつがどっちも対策品コンビで組んでくれた。

という事で今後どちらも対策品に対応の車輛となりんした。

細かい所だけど大切な今後へのアップデートですからね。


それに伴いクラッチ組み込みの為の特殊工具もこさえてくれる。




途中よこっつ夏休みとって沖縄行ったので
(ワークライフバランスまるで無い業界だからむしろもっと休めw)
私のGUZZIレポートいいから沖縄レポートしてくれ書いたら
ブチキレられたりしながらw

ケンタのところ持ち込んでから半年。
紆余曲折あってようやくまともに走れるようになった我がGUZZI。

「もう2度と来るなよ」
と揶揄されつつ(笑)

立川戻ろうか、GUZZI。
やべぇ、ちゃんと半クラ使える泣きそう。
ってかそれが普通のバイクなんだけどwww


半年ぶりにおかえり、GUZZI。

リアのフェンダースカートも半年ぶりに装着。

よこっつ、ホントありがとね。
ハンドクラッチ&フットチェンジ化(まぁ純正に戻っただけだけど)、これにて完璧に終了。
ケンタのこさえたフットチェンジ廻りも何ら問題ないばかりか、むしろスムーズでフラストレーション皆無。流石だよケンタ。
2人共ありがとう。
2人共完璧っす。


ロクにシフトチェンジしないGUZZIとそれに伴う諸々で、
一旦嫌気さして売っぱなっちまおうかと自暴自棄になってバイク嫌いになったが、
「53にもなって厨二病こじらせるな」と同い年のよこっつに諭され、ウチを離れて半年。
ようやく普通に乗れる単車に仕上がったよ。


帰り調子最高だが夕方の帰宅ラッシュに飲み込まれて、
私の左手(クラッチ)がイカれて何度も路上で休憩かまし、
途中H's clothingさん初訪問なのに左手限界で立ち寄ったら
凄く良く対応してくださったり、
モーターサイクルの良さ何だか噛み締めながら帰宅しました。




バーターは私個人の理想求めたらダメ。
それは完膚なきまでに己だけの願望。
先方が「こんなもん」思ったら、結果は「それ」でしかない。
そこで一喜一憂するのは己の勝手に過ぎないと思ってる。
でも乗ってみたらケンタの「それ」はこっちの期待以上だった。
よこっつはバーターではないけど、より完璧な精度と技術をもってして応えてくれた。
2人がいなかったら私単車降りてたと思う。
本当にありがとう、ありがとう。
さて、半年の間に結構くたびれたね、お前。
今日は酒呑みながら磨いてリフレッシュしてやろうと思う。