2022年11月2日水曜日

The Way。

今や希少車(珍車?)となったHarris Matchless G80。
こちらの凹み修復とレストアペイント。

1987年から90年まで製作されたこのマチレス。
ROTAX製の内燃機を搭載して日本では村山モータースが販売していた車体。
当時村山は相当にこの車両に力を注いでいたようで、
こちらの個体も凹みの修正と天面のブラックに修正ペイント痕があったものの
それ以外の他の部分のペイントは下地も足付けも完璧で、
少し処理作業していて感心する程でした。
ただ、金箔のこのラインがくすんでいるのだけ、ですかね。
でもこれはある意味仕方ありません。
80年代当初ゴールドリーフと呼ばれていたアメリカ製の金箔は
実は金箔ではなかったからです。
アメリカは金沢箔の様に薄く伸ばす技術がなく、
代用として真鍮を用いていたからです。
更に言えばその真鍮箔の方が厚みもあるので作業がし易く、
むしろそちらの方が好まれていた事もあります。
未だインターネットもなかった時代、
本物の金沢箔を調達するのは情報含めほぼ不可能だったでしょう。
そして真鍮故に上の画面の様に金がくすんでいるのです。
世界中の文明が金を重宝した理由に変わらない美しさがあります。
これはタンクに施しても本物の金箔ならばくすみません。

という事で凹み修復してサフェーサー入れて
グリーンと黒の塗り分けまで終わったらライン入れます。
今回は金沢箔使用します。



無事貼り終えたら一旦箔の上だけにクリア筆でコーティング。
これ、いきなりガン吹きしたら
エア圧で金粉飛び散って他の部分にかなり付着しちゃいますから。
あので最終コートで飛び散らない様に保険かけておきます。

筆で少々盛り上がってしまうのと
タンク前の部分のエグリのその段差削り込んでも
形状からポリッシュで追い込むのはリスク高すぎるので
一旦5回程クリア吹いたところでその段差を水ペーパーで完全に落とし、
ついでにエンブレムのデカール部分も極限まで削り込んで平滑にして
もう1回クリアコートかけます。それが最終トップコートね。
グリーンで2発・黒入れて2発・金箔貼って5発・削り込んで3発。
この仕上がりまでにクリア12発入るんですよ。
カスタムペイント(これはレストアですけど)とはそういうものなのです。

H様お待たせしました、今週Yoko Tech持ち込みますね
(車輛の方は神田川のよこっつの所でレストアしてます)


50年代のTRIUMPHの内燃機を搭載したフェザーベッドフレームの
TRITONのアルミタンクへのライン引きとロゴ入れのご依頼。
ご存じの通りTRITONはTRIUMPHとNORTONのドッキングした造語。
という事はTRITONのロゴも正式なものは存在してしません。
検索するとこれみよがしにデカく描かれているものから
「これはどうなんだろ」というデザインのものまで
実に様々なアレンジメントのロゴが存在しております。
以前私が施したギャラリーからお気に召して戴いたようで
そんな経緯からの入庫でございます。
鏡やガラスにドロウイングしてるサインペインターの方々をホント尊敬します。
映り込んだ無駄に真剣な眼差しの自分にムカつくと共に
繊細な線引きしてる最中に鼻息でカンバスが曇る度に
「息してんじゃねぇよこの下等生物が!!!」
と、自分で自分をDisり続けてしまいます。
結果、完成と同時に自分自身が傷付きます(苦笑)

ロゴの大きさはNORTONのトランスファーと同じサイズにしました。
E様お待たせしました。

BMWのスラッシュフォルムのFRPタンク。
販売元はいつもお世話になっているRITMO SERENOさんですね。
普通の黒カラーだったんですがブルーメタリックにイメチェン。
最近世界中でBMWのカスタムが流行してる影響もあって
むしろBMWオーナーの方々の方がカスタムペイントされる事、多いです。
国産旧車はほぼ純正戻しという風潮ですかね。
これもまた「時代」なのでしょう。

昨年メットペイントされたSさんが来訪。
うおぉ!欧州から半年かけて日本に到着したんすね!!
納車おめでとうございます♪

セパハンで攻めまくりのカフェでもなく
ツインキャブのボンネでもなく
肩ひじ張らずに生涯乗れるシングルキャブ。
これがSさんが選んだ「アガリ」の車体。
このセレン板だけでもキッチュでスバラシイww
通称「松ぼっくり」と呼ばれてますが
私的にはスプートニクと呼びたい。

「日本到着1年以上かかるかもしれないなぁ」とか言ってましたが
結果私のGUZZIの仕上がりよりも先越されました(笑)
来年春にはツーリング、行きましょ♪

以上、今回はブリティッシュメインのレポートでござんした。
秋晴れの良い天気だと毎年この曲聴きたくなります。