2022年3月24日木曜日

MOTO GUZZI制作記 車坂下Production編。




さて、車坂下Productionの野呂さんの作業レポート。

先ず手始めにフロントのステップボードから。
この位置合わせから様々なポジショニングを決めていきます。

フットボードはハーレーのオーバル(半円)タイプを流用。
で、ハーレーだと無論全てのマウントがインチ。
これをGUZZIのミリに統一すべく
先ずは野呂さんが全てのボルトをミリ化してくれた。
これ、地味に今後助かる統一規格。

というワケでこの作業はそれほど難しくはないが
色々野呂さんの優しさ設定で完璧なセッティング。

で、次に今回の車坂下での最大にして難関の
ハンドチェンジ化の為のハンドシフターの製作に。
先ずはリンケージのファイナル固定の場所を色々検討し探り、
この位置に決まりました。

その位置を確保する為
既存のイグニッションコイルは少しタンクトンネル内に移動。
そしてシフター側の燃料コックの位置も後方へリロケート。
こういうレイアウト変更が様々に起こるのがカスタムなのです。

以前少し触れたニュートラルランプの電気信号を拾うセンサー。
これも当たるのでめくら蓋します。
元からニュートラルランプなぞ付いていない旧車ばかり乗ってましたし、
今回装着するメーター(モトガジェット)に
自動認識機能でメーター内にニュートラル表示どうせ出ますんで、
ここも塞いでシフターの「通路」を確保します。

野呂さんが普段扱っているHarleyとGUZZIは
メカニズムはまるで別物。
野呂さんも頭の中のシュミレーション
相当悩んで構築を繰り返したようです。
フレーム下に伸びているのがシフター、
上の先端がフック形状になってるのがクラッチアームです。

リンクを駆使して繋げていく野呂さん。

どんどん支店力点作用点を駆使して上がっていくシフター。

とりあえず暫定の位置まで到達。
贅沢にもシフターのリンク部分にベアリング仕込んでくれているので
動きが超絶滑らかです♪

実際組み上げてみて動きの中で不具合も見つかります。
今回はキャブにほんの僅か干渉する事が動かしてみて判明。
こっちの左側のキャブをほんの少し内側に振り直したようです。
色々お手間お掛けします。

シフターが決まったのでお次はクラッチ。
脚で操作するフットクラッチでロッカータイプ。
ここ観てる方はもうご存じの方が多いと思いますが
ロッカークラッチとは足を降ろした状態でも
そのままの位置でクラッチが固定されているもの。
その真逆で脚でペダルを踏み続けていなければクラッチが切れないのが
通称「スーサイドクラッチ」と呼ばれているものです。
脚降ろせないから自殺クラッチなんて呼ばれてるんすね(苦笑)

因みにロッカーはその名の通りロック(Lock)出来るので
左足を降ろしても問題起きないので
戦前のHarley等で採用されていたフットクラッチはほぼこれです。
ただ、スーサイドの方が構造がシンプルなので
カスタムチョッパー等は不便覚悟のうえでスーサイド採用する事が多いです。
踏むだけのシンプルなアームのスーサイドクラッチに比べ
ロッカーはシーソーの原理でクラッチ操作するので
構造的には複雑でその存在も結構目立つ感じになります。

こちらは新たに製作されたロングアームにボールジョイントを使用し
ロッドでクラッチまでエントリー。
何ならクラッチまでワイヤーで行くかと思ってたので
しっかりメカニカルなロッドでテンション上がる私。

で、お次は反対側のブレーキペダル。
野呂さんアルミを何やら切り出してます。

削り出しでブレーキアーム♪

一度製作したものの
このペダル面積では踏みにくいと判断したようで
何ともう一度作り直してくれる。
この同じ位置を何度もスクラップ&ビルドする事で
よりしっかり走る事も実現出来るカスタムになっていくのです。
野呂さんもホントこのリトライ何度もやってくれる人です。

ペダルの先端を戦前車イメージ(野呂さん解釈)に変更、
こちらもアームもワンオフでブレーキのレバー比考慮しつつ
更にこちらも駆動方式はロッド♪

何と期せずして跨って見下ろした時の光景が左右どっちもロッド。
細かいところですがメカニカルで眺めてて萌えますw

そしてラストはバッテリー電装ケース。


アルミで製作してくれましてん♪
形は野呂さんに「丸投げ」しました(笑)
ここで野呂さんにもこの車体のデザインに加わってもらいたいので♪

前大きくて後ろに向かって細くなっていく形状か~

おー、蓋というか天面は緩やかなラウンド形状。

中にバッテリー固定用の間仕切り造ってくれてます。


上蓋と後ろを溶接で繋いでいきます。
上に向かってそっちもちょっと広がってる
キッチュで可愛い昔の玩具のブリキのロボットみたいっす♬

そうそう、ここでまた面白いエピソード。
前にケンタが造ってくれたワンオフのハンドル。
無論私が構想してケンタに何となく伝えて具現化してくれて、
これで全然満足ではあったのですが

野呂さんからある日℡。
「Muneさん、あのハンドルがちょっとカスタムバイク過ぎません?」
色んな人がかかわってこそのこの車体のプロジェクト。
「大丈夫っすよ、けんたんこっち呼んでやらせますんで!」
ケンタ、ホントごめんwww
また何かバーターで塗るからリメイクお願いします(笑)

で、ケンタが車坂下でリメイクしてくれた。

ほんの少しワイド化。
中心に直線を少し取り入れてエンドもわずかに下に。
なるほど、確かに戦前車のハンドルっぽくなってる。
むしろライディングポジション良くなって大満足っす♬

シフターにドリルドでここはカスタム感を。

バッテリーケースも装着され


これにて車坂下での作業、全て完了。

納車の直前、
野呂さんがこんなノベリティまで製作してくれた。
外して不要となったクラッチアーム使って
アルミの更に溶接されて出来上がったお香立て。

やべぇぞ、これだけでもテンション上がるのに
車体も戻ってきたぞ!!!!


もう完成までのゴールがかなり見えてきた。





しっかし長ぇなおぃw
後ろの4段のロッカー移動させないとした2段開けられないやw
これは車体完成したら工房のレイアウトも仕切り直しだ(笑)


野呂さん解釈のアールデコ


メタルだけで構成されたロッカーとシフター



前後で採用したがメカニカルになったフットボード廻り

少し蒸気機関車のような
機械式時計の様な佇まいは狙い通り



キッチュな見た目がむしろ演出にプラスされた電装ケースは
そのフォルムが美しいのでアルミポリッシュでいく予定。

この車体のコンセプトだったNY博覧会のコイン埋めたシフトノブ、
ようやくこの車体に装着された

このシフトノブ、手首骨折した時に
リハビリ目的でちまちま螺鈿貼ったんだっけな(苦笑)






野呂画伯のバッテリーケースの中のGraffiti(笑)
おおぉ、このケース電装だと思ってたらこいつの犬小屋だったんかぃw
ぜってー消さないで取っておく事にするwww

思えばこのDRILASTICも探して見つけ出すのに2年以上かかったっけ。
ってか戦前ドイツ車知らない人はまるで知らないメーカーでしょうけど(苦笑)



ハンドル廻りはイタリア製で統一した。
スイッチは少し珍しいタイプのAPRILIA製。

ブレーキレバーは50年代のイタリアンのもの。
この辺はBATの片山さんが色々アドバイスと調達してくださいました。
そのレバーをSRのワイヤーで使える様にホルダー製作してくれたのはケンタ。




カスタムで確実に成功する方法論の一つが「引き算」。
無駄を省いていって車体本来の骨の美しさを際立たせれば
概ねフレームの美しい車輛ならこれで成功します。
保安器具全部降ろしたレーサーがその典型例ですよね。
ミラー装着しただけで全部台無しになって
「あああぁぁ付けたくねぇぇぇ」ってなった人多いんじゃないでしょうか(笑)

だから確実に結果を「外さない」セオリーは引き算だと思います。

じゃあ「足し算」はやはりダメなものなのでしょか?
付ける位置・数・チョイス・その周辺との兼ね合い。
これらを全て慎重に計算してやればカッコ良くはならないものか。
それこそ戦前の工場のボイラーや蒸気機関車、レシプロ航空機の内燃機。
ああいった機能美から来る美しさを落とし込んでみてはどうなのか。

どこまでも旅するモーターサイクル。
なので安心して走破する為のアイテムは減らしたくない。
むしろ夜間走行等ではフォグランプも欲しい。
それらを不格好なメタボリックではなく
どうやったら構築されて完成された範疇でメタボリックに閉じ込められるか。

野呂さんに同じ事言われました。
「引き算でチョッパー造ってきた俺には思いつかないスタイルで
物凄く刺激と衝撃を受けました」
ありがとう、第一線で常に結果出してきたビルダーにそう言われると
私の中で描いたこのミクスチャーは
今のところかなり綺麗に無理なく纏まっているようです。

戦前BOSCHのヘッドライトレンズ。
MGのラジエーターキャップ加工した燃料キャップ。
50年代のイタリア車のシャープな鉄レバー。
ドリラスティックとダンロップのラバーサドルシートのコンビネーション。
1910年代のブルックランズ缶後ろに大幅にせり出しての2本出し。
ツネちゃんに造ってもらったブガッティのScintillaテールランプ。


2輪4輪様々な当時のパーツの大博覧会状態。
でもそれをまるで当時から付いていたように見せられるか。
自分の中で外装の形は大幅には変えないは決めてました。
変わってない中で細く絞ったガスタンク。
フェンダーに追加したスカート。
メタボリックに見せない追加作業で纏めていく計算式。
知らない人が見たら
「こんなGUZZIあったんだね」って思ってもらえれば
私としてはコンセプト大成功です。

野呂さんホントありがとう。
GUZZI買ったら走りにいきましょうwww