2019年7月2日火曜日

死闘を繰り広げたMOTO GUZZI。

RITMO ALBEROよりGUZZIの外装一式が入庫したのは
奇しくも前にレポート上げた他のGUZZIのパニア入庫と同じ時期。
他にこの時期ハーレーのパニアも預かっていたので
我が工房はパニアまみれとなる。


先ずはタンクから下地剥いてチェック。

うん、各部凹みとかは念相応だろうが

穴開いちゃってたよ、左右どちらも(苦笑)
勿論Tigで塞いでリークチェックして表も中もPORで処理。

パニアも中覗いたら過去にどうやら多くの手術を受けた痕が。
地金の様子は悪くなさそうなので、
これも全部剥いて叩いてやってると金額が天井知らずになってしまうので
タンクの様なガス漏れたら一大事という箇所でもないと判断。
実際取り付け部の周辺は剥いてチェックしたが地金は綺麗だったので
(この辺大丈夫だと普通の地金の箇所はほぼOKな事が殆ど)、
ざっと足付けしてサフェ入れる。

パニア左右とそれぞれの蓋、合わせて4点。

3点何も起きずに終わったのに
何故か1点のみ盛大に縮れる。
「オーナーの金額の心配なんか知った事か!剥け!イーヒヒヒ♪」

あああああああぁぁぁぁぁぁ。。。。
この1点のみ全剥離決定。
振り出しに戻る。

ツールケース。2個とも底部盛大に朽ちている。

水、溜まったんだろうな。
イタリアンクオリティだから(苦笑)
ケースの淵も結構な勢いで朽ちている。。。。

蓋の合わせのところにパッキンとかゴム無いからね。
更に取り付け部の穴からも水入り放題だし。。。。

出来るだけ錆除去してたら

開通してしまう(´;ω;`)
まぁこれでへこたれてたらイタリアンなんか乗れないし弄れない。

Tigで穴塞いで更にこっちもPORでこってりコーティングしておく。

多少上塗りでこのPORの段差出ちゃうけど
内側だし錆が進行するよりかは遥かにマシでしょう。

こんな感じで各部外装手掛ける度に何かしら出てくる。
気付けば同じ時期入庫したパニアさんは無事に退院される。
お前はいつになったら本塗りに取り掛かれるんだ
(´・ω・`)

そんな格闘続けながらタンクの方は着々とプログラムを進めていく。
今回新しいメッキ塗料にチャレンジしてみる。
塗料メーカーの吹き方のマニュアルだと美しい仕上がりにはなるのだろうが、
実戦での使用や重ね塗りには絶対適さない工程だったので、
こちらで塗料の特性を踏まえた上で研究を重ねる。
およそ2か月試行錯誤してようやく納得のいく工程をみつけたので
いよいよタンクへと施工してみる。

期待以上だ。ひゃっほぅ♪
従来のメッキ調ペイントはクリアかけると反射が悪くなり
掛ける前まではクロームみたいだったのに
クリア施すとたちまちステンレスやアルミバフ掛けレベルまで落ちちゃってた。
下手するとユニクロレベルまで下がる代物まで(苦笑)
これはいい!かなり手間掛けないと安心して使えるようにはならないが、
ペイントでクリア施してこのクオリティは申し分ない。

唯一ネックとなるのが脱脂の拭き痕だけがかすかに残る事。
拭かないと絶対弾くし、拭いた後は透明なので
クローム吹いてみないと拭き痕が出てこないのが正直厄介。
というより脱脂しないと吹けないから事実上ここだけ目をつむるしかない。

あとこの塗料、クッソ高い。
このタンクの左右のこの部分クロームにするだけの塗料でも¥7,000する(苦笑)

とはいえ、タンクをリクローム出すよりは遥かに安いし
こういう部分的なリクロームにはこれはうってつけだと思う。


ゲップが出る位下地のトラブル対処してはを繰り返し、
何だかんだで半年経過してしまった。
しかしここでようやく下地の終わりが観えた。
ペイントは基本下地が9割、塗装は1割位なモンなんです。
でも基本はペイントって「錆止め」「劣化防止」だと思うんです。
だから彩り与える前に下地はしっかりやらないけんと思っています。
現行車の外装なら速攻で下地終わります。
レストアとはそういうものなのです。


で、猛烈に追い込んだので終わっちゃったんです。
要は没頭し過ぎて写真一切忘れちゃったんです(笑)
しかしこのクロームペイント、凄いねやっぱ♪

黒なんかも鏡面にしちゃえば移り込んじゃうので
写真や画像だと黒でもクロームっぽく観えちゃう事もあるんですが、
こうして敢えて暗い場所で撮ると理解ります。
しっかり周辺の光取り込んで映し出してます。
これは黒鏡面には出来ない芸当です。
ペイントで再現できるクロームの中では現在一番のクオリティじゃないっすかね。

1度は膝から崩れ落ちたパニアも完成。

色はオーナーの希望のカラーリング。
画像では薄いピンクに観えますが
実際はそれに黒と白濁り入って意外とシックです。
正直最初この色どうかと思ったのですが(オーナー様失礼っ!)、
ラインの黒入れた瞬間意外にもマッチングし、
「あ、これ悪くない。むしろ個性的でいいかも」と思いました。
オーナー様の勝ち、ですね(笑)

ケースの内側はボディ同色だと過去の「アラ」が良く見えてしまうので、
オーダーにはなかったのですが艶消し黒にしました。
えぇ、過去の古傷を見えにくくする為です。
長期入庫をじっと待っていただいたのでワタシのサービスです(笑)

フロント・リア各フェンダーは先端に黒を施して

ラインはエンド部エッジで終わるパターンで。
カスタムペイントですがこのGUZZIは元々この位置にライン入るので
そこはオリジナル踏襲して。

ツールボックスもきちんと中も外も仕上げてあります。

唯一オーナーさんの意向汲めなかったのがこのバッテリーカバー。
オーナーさんからはここも子持ちライン希望だったんですが、
V7と700㏄のデカール貼ったらどー考えても2つはライン入らない。
というか支給されたこのデカール若干デカい気がする。
転写のまんまだと2つライン入らないどころか
700㏄思い切りライン1つにしても被る(苦笑)

これが元なんだけど、どうやらこれより今回のデカール大きい。
貼る位置を多少リフトアップしてようやく入る感じ。
700㏄は一旦切り離して位置合わせ(内側寄せ)して調整した。
そして上とこの画像比べれば一目瞭然なのだが
本来のラインは子持ちどちらも細い。
これ通りの指示なかったから採寸していないが
多分オリジナルは内側から1:3:3㎜だ。
今回のオーナーさんの意向は3:3:6㎜だ。
要はV7デカールが当初の大きさのものが来ても入らなかっただろう(笑)
オーナーさん、何卒ご了承くださいませ。


というワケでようやく終わりました。
ツアラーはパーツの点数相当あるので
ロードキング並みに大変だと実感しましたです(苦笑)

今週にはリトモアルベーロに着くでしょう。
ワタシも組上りが楽しみです♪
永らくお待たせしました。
そして長期に渡りじっと持ってくれたオーナーさん&つっちー、
ホントにありがとうございます。