2015年10月30日金曜日

ああぁもう晩秋だけど夏の総括その2。

1943年製NORTON入庫。
中々綺麗にリペイントされてはいるのだが
どういうワケだかNORTONのロゴがコマンドのものを使っていらっしゃる。
何で40年代の車体に平気で60年代のロゴ貼るんでしょうね。
海外の方って意外とその辺無頓着な方多いんですよね。
進行方向向いてるはずのMOTOGUZZIの鳥さんが片方後ろ向いてたり。
ってかセットで買えば必ず進行方向向くはずなのに(或いは両方後ろw)。
一体どうすればそうなるのか見当もつかん事例が多いのでゴザイマス。
気に入らないので剥離してリペイントしてちょ、というご依頼です。

少し塗装に詳しい方が観ればおわかりでしょうが、
ロゴには無頓着だったワリにはメッキ部分にもこってりとクリアを施して
何と段差を埋めているという手の込み様。
のワリには赤のラインはテープ使ってるので
結局ロゴと赤のラインは段差バリバリ、という
着地点をどこ目指したのか全く理解らないペイントです(苦笑)


総剥離してみれば大変綺麗なメッキのクロームがこんにちは。
リクロームまで施されたようですね。
という事は下地はどこも凹み無かった可能性が大です。
余計に前のぺインターの仕事が理解不能になってきます(笑)

当時の写真や資料を集めてなるべく忠実なパターンを施していきます。
上にぶら下がってるのと右の子は覚えていらっしゃるでしょうか。
ウチに4月から転がり込んでる1927年製のNORTON 16Hです。
因みに43年の今回の子も16Hです。
NORTONで入庫重複すると色造るのも作業も一緒に出来るので楽ですねw
よそではこんな光景はほぼないのかもしれませんが
ウチでは幸か不幸かこんな光景の方が多いデス。。。。


今回はオリジナル同様、メッキの部分にはクリアもかけません。
なのでその部分のマスキングは最後の作業までずっとへばりついてます。
あ、とはいえ塗装の際の部分は当たり前ですが毎回貼り換えます。
そうしないと綺麗に塗膜のエッジ出ませんからね。

全ての作業を終えるとペリペリとマスキング剥がし。
クロームが観えてくると本来の姿になっていきまする。
この瞬間は何年やってても心躍ります♪

っちゅうコトでよりオリジナルになってリメイク終了です。
というかほぼほぼ塗り直しですけどね(笑)
これが本来の年式のロゴです。
1枚目か2枚目の剥離中のものと比べるとバランス良いのが理解りますよね。

タンク上にも本来貼ってあるトランスファー追加しておきました。
赤のラインは勿論筆ですので今回は段差無しです。


レストアにだいぶ時間を要しましたがこちらの爺ぃも完成です。
20年代のNORTONのロゴもまた違うの、理解ります?
一番細くて繊細なフォントになります。


この年式、中々このタンク上部のラインの正確なものが資料に無く、
海外のサイトや検索で探しても上をわざわざ撮影してる個体がホント居ない。
で、探しに探して当時の文献で位置表を発見し、それで再現出来ました。
そう、この地球上で滅多に無い正確なライン取りの上からの画像です。
みんな、持って行くがいいwww
こんな事で独占する気はこれっぽっちもない。
どころかこれ観て参考にして世の中のレストア車がより正確なラインになってくれれば
どっちかってぇとそっちの方が全然いい。
どう考えたって全部ワタシが塗れるワケもないですし(笑)

オイルタンクもおよそ90年のボッコボコをちゃんと治してあげて
こうして無事に世代違いのNORTONは旅立って行きました。






一段落ついたところで久々にブースのメンテでもしようと思い付き壁を白く塗り直し、
次に蛍光灯のカサを拭き取ってあげようと掃除を始める。
が、10年分の塗装ミストの付着はハンパない。
1枚目のこの時点でもう2F上がってBEER呑みたくて仕方がない。


やっと1枚拭き終わる。もうMax後悔している。
だが残りの3枚に
「まさかお前ここでやめるとかふざけた事考えてないよな!?」と
何だか激しく非難されてる気がする。
泣きながら残り3枚もせっせとシンナーで拭く。。。。


吹き終わってミストが全部綺麗に除去出来たところで
当たり前だが塗装屋なので白で吹き直す。
ああぁ、もう明け方じゃんかよ(泣)


ぎゃーーーー!眩しいぃぃぃぃw
まぁすっきりしましたです(笑)



W様よりご依頼のCB500のタンクとサイドカバー。
タンクは油染みと汚れの目立つ黒と白の部分のお化粧直しと
サイドカバーは割れてしまったので色違いの程度良好品を用意されてペイント。
先ずは掃除と状態チェックと裏をエアブローしたら
ボリボリと前のぺインターが塗った塗装が剥がれて飛んできた。
ぎゃーーー、痛い!!
全く足付けしないで裏に関しては捨てる様に吹いたんでしょうね(苦笑)
でもおかげで一番下のオリジナルのキャンディグリーンが出て来た♪
このCBのキャンディ、薄いブルーメタリックに黄のキャンディかけて
このピスタチオグリーンにしているのです。

同じ時期のCB500のルートビア色も緑のメタリックに赤キャンディでブラウンにしてる。
メーカーにしては凄い手の込んだペイントしてるなぁ、と思ってたら
当時の開発者に話を訊いた雑誌の人曰く
「ラインの7割近くがNG出ちゃう位難しくて現場泣かせのカラーだった」
らしい。
だってこれもうカスタムペイントだもの。でしょうね(笑)



サイドカバーは樹脂まで砥いだのがこれ。
500FOURのエンブレムの形でくっきり日焼け跡付いてますね。
もう貼ってはありませんでしたが以前はイニシャルでしょうか
Y.Oというステッカーも貼ってあったのが下地でバレバレです(笑)
この頃の国産車は樹脂の中に色混ぜてなかったので
こうして塗装通過して紫外線が樹脂を劣化させてしまうのです。
これを防ぐ為に最近の樹脂パーツは黒を混ぜて透過出来ない様にしてあります。
樹脂はこのままではじきに紫外線ですっかりやられて寿命がきていたでしょう。
それを現行のサフェーサーで紫外線を防いで進行を抑えてあげる事が出来ます。
上にも黒吹いておけばもう完璧です。
サフェーサーでお肌を整えれば上塗りのお化粧も滑らかで美しくなります。


お年を召した方々にこそリペイントして戴きたい。
ドモ〇ルンリンクルからのお願いです。


残念ながらこちらの外側のグリーンはキャンディではなく
メタリックとパールで再現されたものだったので
サイドカバーも同じ方法で色合わせ。
でも裏側のオリジナル拝めたのでデータは取りました。ひゃっほぅ♪
そして何度リペイントされてもここだけは残されてきた黒と白ラインの場所。
おかげさまでギッタギタに段差あったんですが
今回そこも埋めて鏡面にしてあげました。
こういう現状からの補修みたいなペイントも場合によっては可能です。
W氏は「このグリーンがオリジナルではないのは知ってるけど
ずっとこれと一緒にいたから、これで愛着沸いちゃってるんです」と仰ってました。
それもまたステキな接し方だと思いますデス♪






廃エース6回目の車検。
と言う事はこれから13年目のお付き合い、という事。
駐車場も更新なので不動産屋まで行って書類に捺印。
「随分大切にお乗りになられてますね。」と不動産屋の女性社員さん達。
「目立ちますものね、あの車。私達もいつも観てますよ。」
「娘が通学路なのでワタシよりも娘がいつも安否確認してくれてますw」とワタシ。
「え?娘さん〇中学校なんですか!?」
どうやら社員さん達のお子さんたちも同じ中学らしい。
「えぇ、今中1で響って言います」
「ええぇ!!!響ちゃんのお父さん!?」
メッチャ知られてた。地元だから余計に世間は狭い(笑)
「響ちゃんもしっかりしてるし奥様も上品な方だし、車がアレなので結びつかなかったです!」
大丈夫です。ワタシはもうそういう評価に馴れておりますのでw
少なくとも娘もカミさんも褒めて戴いているので気分は良いデス(笑)
これからも駐車場、お願い致します♪


福岡のつっちーが写真送って来た。
「Muneさーん、観て観て~魚肉~♪」
作業中に熱いBMWのシリンダーに脚が触れて
「熱っっ!!!!」とよろめいたら隣のGUZZIの熱いエキパイにも触れたらしい。
喜んでこんなアフォな事してきたが
写真撮り合わってシンナーでマジック拭き取る時に
絶対火傷にシンナー触れて七転八倒するに違いない。
気を付けろ、どあほうw


RITMOの残党がやおら絡んできた今年の夏。
この男も仕事の依頼に来た。
今は港北でSHOP構えてるらしい。
がんばれモギー!!


何だか忙しくてほぼ遠出できなかった今年の夏。
1日だけ河口湖自動車博物館に脚を運んできた。
1式陸攻が胴体ほとんど出来上がってるのに驚いた。
レストア、早ぇよ(笑)


それ以外はほぼ毎日せっせと何か塗ってました。
1日中ブースの中でぶら下がったパーツに向かって吹いていた翌日の地面。
見事なまでにミツバチダンスしとります(苦笑)


そんなある日、随分昔からウチに遊びに来てくれるこーいち君が来店。
何と三菱ジープ買っちゃったらしい。
こーいち君は高校生の時に乗り物大好き親父に
「立川にIGNITEマガジン配布してる店あるからもらってこい」という使命を受けて
IGNITEマガジンが出る度にウチに来てくれていた若者。
今では24歳。そして三菱ジープ購入。
もうね、ザンネン街道まっしぐらwww
ここは大人としてちゃんと真っ当な道を教えてあげなきゃ、と
青年を前に淡々と人生のお説教をしてあげたはずなのに帰り際に
「いやぁ、ここにきてやっぱり元気もらえました♪ありがとうございました!!また来ます♪」
と笑顔で言われた。
どうやらワタシはもう普通の説教すら出来ない体たらくのようです。
誰か助けてください。ワタシを。



M様よりご依頼の250TRに載せるRZ50のタンクカスタムペイント。
70年代・80年代の原付には結構魅力的なフォルムのタンクがありましたよね。
最近は全てワンオフというへヴィなメニューのカスタムも多くなりましたが
90年代終わりあたりはこの流用カスタム、流行りました。
でも元が原付なのでないがしろに扱われた過去のものが多く、
今となってはかなり補修が必要になってくる個体も多いのも事実です。
このタンクもほぼ全面大小の凸凹が無数にあったのと

残念な事に左右どちらも前面部の底に腐食で穴がありました。

大変失礼な話ですが、この手の流用は(特に国産だと尚更)
ネットのオークションで格安で入手してイージーに出来るというイメージで
流用を考えている方も多いのも事実です。
なのでこういう料金のかさむ工程内容をお伝えすると
「タンクの値段より高くなっちゃうんすけど」とか
「ならいいです破棄します」みたいな方もままいたのが今までの経験。
と言われてもこっちも工賃もらえないと仕事してる意味がありません(苦笑)
折り合いつかないの気分良くないんだよなぁ、とか脳裏で思いながらM氏に℡。
「フォルムを気に入っていますしそのタンクももう今では貴重ですから。
しっかり治してください。」という心強いご回答。
RZタンク、お前良いオーナーに拾ってもらって良かったね♪
こうなったら半世紀生きられるクオリティ目指してあげようぞ(笑)

こうして無事にペイントも終わりました。
このカラーパターン、どこかで観た方も多いんじゃないですかね?

そうなんです。このカラースキーム、ノーマルタンクなんです。
ここまで予算掛けて手間掛けてカスタムタンクを搭載して
それでしれっとノーマル装う。
間違いなく大人の選択。大人の道楽だと思います。


先程の苦い経験談ですが、実は開業して5年くらいまでのお話しです。
それ以降はそういうお客さんは皆無です。
ウチはそういう意味ではお客さんにも恵まれているなぁ、と感謝の気持ちでいっぱいです。
M氏、こんな粋なご用命ありがとうございました♪


やっと総括終わった今年の夏のお話しでゴザイマシタ(苦笑)