MOTO GUZZI850EL DORADO(エルドラド)
カスタム製作記、細々と淡々と完成までのレポート記念すべき第1弾。
RITMO時代の46さんから
「アンバサダー、もう1台組めそうだけど買う?」と言われ
3個イチの予定がもう1台いけるかもというゴミを買ったのがもう6年以上前。
4年以上リトモで放置してやっとこ引き上げて来たのももう2年前(苦笑)
忙しさとお金の優先順位考えると仕方なかったのだが、
それにしても放置し過ぎてました。。。。
その間にドカEgぶっ壊して魚肉スピード立ち上げて
息子大樹とダブルでレースにエントリーとかしてたら
とてもじゃないが制作の時間もお金もありやせん(笑)
引き取って来たばかりの頃のGUZZIのゴミ。
飛び出てるピストンはまるっきり動かないし
何でだかフライホイールがミッションの上にボルトで固定されて鎮座していらっしゃる。
緑青吹いたみたいに錆びてるタンクとグッサグサのシート。
持つだけで破傷風になりそうなゴミ通り越して害悪。
かくして一昨年、ウチのこの位置で惰眠を貪る事になります。
先にこんなゴミ状態掲載しておけば
どんな事しようが世界中から文句も来まい、という
誠に小心者のしたたかな魂胆が観てとれます。
これを多摩地区の色んな業者で共同で仕上げていく予定なのです。
全体のメタルワークと外装はツネちゃん。
彼のチョッパー、ソラジローを塗ってあげたのでそれのお返しで(笑)
しかしソラジロー塗ってもう1年、やっとこワタシのGUZZI製作開始となり
「これでようやくあの時の恩返しが出来る」と笑ったツネちゃん。
ホントに男気あるヤツでございます。
フロントセクションとクラッチ回りはケンタ。
今年のショーに出すSRがまだオーナーいなくて自腹なのでじゃあバーターで、とw
こちらも「え!?俺も関わっていいんすか」と嬉しいご回答。
シートに関してはお馴染みのラズダズRyozzy君。
「ラバーシートじゃ出る幕無いぢゃん」とすねていたので
シートカバー他でお願いしたいと思っております(笑)
そしてメカニカル部門と最終調整で勿論の46さん。
コンセプトとペイントがワタシという感じのプロジェクトでございまする。
思い返せば3年前にやったこの企画。
7人の各ビルダーが寄ってたかって造り上げたこのトライアンフのプロジェクト。
これが職人として凄く愉しかったんですよ、えぇ。
このトラのオーナーは或る意味有名人のちぃ。
各自がどんな技巧でどう出てくるのかの技のせめぎ合い。
もうこれが愉しくてね。
しかも馴染みの多摩地区集団だったから尚更(笑)
今考えるととんでもなく安い金額で請けたプロジェクトだったけどw
出来上がった時の皆の達成感とかやり遂げた感とかは
絶対金額では手に入らないものだったからね。
ちぃにはホント感謝してる。
今度会ったらチューしてやろう。
ちぃのヤツ喜んでワタシをメッタ刺しにするだろうなぁw
人生は一回こっきりだからね。
折角46さんと縁があって手に入れたGUZZIですから。
仕事柄色んな車体の情報が飛び込んできて
「ヴェロあるけどどう?」とか「NORTONあるよ」とか「サイドバルブ出たよ」とか
「ファルコーネ乗るかい?」とか「KZ1000とか興味ある?」とか
もう数えたらキリがない(笑)
全部好きだったし欲しいなとも思ったけど、何故か本気にはならなかった。
仕事で色んな車種接してると誰かが持っていたりで
その人と走れるから、何か見てるだけで・近くにいるってだけで満足だったり。
SRがビンテージの登竜門みたいな扱いされて
皆とっとと降りちゃうのが癪に触って乗り続けてたってのも30半ばまではあったかな(笑)
でもSRがそういうモノじゃなくなってきて
素でホントにシンプルで良い車体だと思えて気楽に乗れるようになってきて
そしたら息子がね、もうじき大型乗れる年齢になってきたから
親子でバトン渡すのがSRの良いところだなと譲る事に。
「いい加減これからの人生の車体欲しいかな」って思ってたところで
46さんがGUZZIのアンバサダー始めたワケ。
で、上に書いた「もう1台造れそうだけどいる?」と(笑)
一生の中でここまで一緒に仕事やっていける人は早々いないよね、って思ったら
彼の手掛けるGUZZI乗る事が自分の人生で一番贅沢で幸せな事だろうな、と思えて
「おぅ、買う」とゴミを買ったというワケでして(笑)
今思い出すとドカも即決で現物も見ないで買ったっけ。
偶然イタリアンばかりですがワタシが選んだ理由は車体本体に惚れ込んでいた、
というより単なる「縁」、ですね。
人の付き合いの中で出て来たものでピンと来た物選んでるだけかも(笑)
SR20年、ドカとジャイロ10年、廃エース15年と
手放さない(歳食って手放せなくなった)性分だと自分で理解ってるので、
このGUZZIは終の相棒になるだろうな、と。
ならば今関わってる仲間達に造ってもらいたいな、という事になり
ちぃのトラでやった様に自分の車体も職人集団に関わってもらう形でやろうと思ったのです。
多摩地区軍団で造り上げた1台、
いや、ワタシの人生の中で関わって来た大切な人で造られた1台、だな。
仕事の合間や終わった後にこうして眺めてはカスタムのプランを練る。
苔が生えて新たな生命が宿ってたシートは捨てたw
フロントセクションは使う予定が無いので
オリジナルのボラーニのHリムの入手に困ってたRITMOにあげた。
代わりにその事故車のひん曲がったリム暫定で貰ってきた。
遂に転がすのすら困難なゴミと化した(笑)
何か本当に屑鉄になりそうで怖い。。。。
因みにEgは別にあります。
流石にこのゴミ起こすのは到底厳しいでしょうし。
850のEg含めて買ったんす。
ん?じゃあワタシの車体は750のアンバサダーではなくなるから
呼び名としては850だからエルドラドになるのか。
まぁマヤアステカ傾倒してるワタシにはEL DORADOの方が合ってるわいw
順番がおかしいが先ずはヘッドライトを入手。
これは戦前のロールスやメルセデスが採用していたBOSCHのレンズ。
独特のレンズカットにすっかり魅了されて検索開始。
お、リプロだけど今でも売ってるのね~♪と値段見たら
流石はロールス・ベントレー様。
左右セットでレンズだけで15万円也。。。。
「あぁ、庶民がハイエンドな優雅なパーツに憧れてはいけないと言う事か」と
泣きながらもうPIAAでもKOITOでもいいやと自暴自棄になっていたが
諦めきれず執念深く探していると
もう1メーカーこれを採用している会社を見つけた。
確かに地味にマイナーなメーカーだが、戦前からある老舗ではある。
ダメ元でそのメーカー名でEbayで探し続ける。
遂に見つけた。サビサビのリム付きで。
でもって出品場所は何故だかギリシャのキプロス島(笑)
戦前の硬いフォントとヘッドライト中央のコイルのマークが
最初期のBOSCHの証。
ようやく入手して浮かれてたらこのヘッドライト、口径が凄く微妙。
192パイ。。。。
こんな規格あるのかよ、と調べてみたら
戦前はレンズメーカーによって全くフリーダムに造られていたらしく
世界基準の口径統一なんざされていなかったらしい(苦笑)
ちょいとボロいがリム付いてきて良かった。
少しメタルワークして現行180パイに装着出来るプランを考えよう。
次に入手に着手したのがフューエルキャップ。
とはいってもこれは戦前のMGのラジエーターキャップ。
こんな風にレバーをスライドさせればキャップが開く仕組み。
この見てくれとギミックに惚れて探し出す(笑)
ただね、本来はラジエーターキャップ。要は完全密封。
このままではタンクが真空化してガソリン落ちませんわな。
なのでレバーで隠れる場所に小さくドリルド。
無論そのままでは振動で吹きこぼすのは目に見えてるので
裏ぶたを制作して2重構造にしておきます。
まぁこれなら安心して使えるでしょう♪
因みにこの戦前MGのキャップもかなりの高級品。
必然とパーツ集めは何か月もストップとなります(笑)
ヘッドライトのロールスロイスといいキャップのMGといい
ワタシは一体何を目指しているのでしょうか。。。。
惰眠を貪ってる間にもRITMOの影響で乗りたい人は増え
仕事として自分のではない外装がまぁ頻繁にウチにやってくる。
綺麗な個体を預かっては塗る前にこいつに載せてみるという
虚しい日々が続く(笑)
因みにこのハンドルがオリジナルのハンドル。
RITMOのユーザーは皆軽快な46モデルにしていくので
余ってたから貰ってきた。
が、プルバックの激しいライザーと太いフロントの影響もあり
こじってみるともうバイクというより耕運機w
メーカー純正のクセに絞りの場所がパイプ痩せてるし。
砂詰めないでベンダーで曲げて終わらせやがったな、イタリア人(苦笑)
間違いなくワタシもこのハンドルは捨てるだろう(笑)
ドカの返済も終わり、魚肉の活動も5年経って各自安定してきた。
今乗ってるSRは息子が大型免許取ったら譲る約束になっている。
いい加減やらないけん(笑)
多摩地区名物、奥方にバレる前にバーター取引というヤツで
46さんにタンクをチョップしてもらった。
これをやる事でディスコボランテな全て丸みで形成される綺麗なタンクになる。
更に細くなる事でヘッドが跨ってても見えるのもメカ好きには嬉しい。
ノーマルと比べると差が如実。
多分ノーマルはヘッド隠す事でノイズ軽減と
アメリカでの販売をターゲットにしていたので
ここまでの容量のタンクにしたんだと思われる。
このノーマル、22リットル近くガソリンを飲み込む。
因みにチョップしたタンクでも14リットルは入る。
日本ではそんだけ入ればどこ行っても困らないだろう。
無論純正タンクのチョップだから横からのビューは変わらない。
テーマとして「こんな純正の車体ってあったの?」だから
むしろそれが有難いのだ(笑)
でもってリアサス短いヤツ差してみたので
リアフェンダーのアーチとタイヤのアーチずれまくりでキモイw
次に待ち望んでいた入手はラバーシート。
戦前のBMWやNSUに使用されていたドイツのDRILASTIC製。
これはADDICTのきだにんから「ドリラスティックはどう?」と言われ
「そーいやそれ使ってるカスタム車観ないわな」で探し回って2年(笑)
ポーランドでデッドストック見つけ出してゲット。
っていうか悪ふざけで「きだにん」と呼ぶようになってから
すっかり定着してしもうた、ごめんきだにんw
流石はドイツ、ラバーシートにもタイヤと同じくカーカス(鉄芯)入ってます。
物凄ぇ堅牢な造り。着座位置にもディンプル入ってるから滑らないねこれ。
でも硬過ぎな気もする(苦笑)
ま、これもラズダズRyozzy君とBSAの緑タンクでバーター取引きしたから
いずれそれでシートカバー造ってもらお♪
何度も言うが業者同士こういう交換取引きとか超割引とかないと
自営業はボーナスとか出ないんだから
これで福利厚生と思ってくれないとですよwww
カミさんが座る方のラバーシートはリプロのダンロップレプリカ。
こっちは良い意味でぐにょんぐにょん。
カミさんには座り心地良いからむしろいいだろう♪
そして逸品見つけ出したら資金貯めるまで暫し活動休止という
牛歩の如きパーツチョイスが続く。。。。
シートの機構も運転するワタシのサドルとタンデムのカミさんので機構変えてみる事にする。
その為のスプリングも日本では全く売っていないのでドイツとイギリスから購入。
世界中からバネ買って喜んでるバカがいた。
・・・というかそれはワタシだった。
次に目を付けたのがこいつ。
BUGATTIのレーサーに装着されていたこのテールランプ♪
谷保天満宮の旧車祭で実車のこれをめちゃくちゃ写真撮ってた(笑)
なのにノートPC死んで画像全部吹っ飛んだ(泣)
でも執念ってのは恐ろしいもんだね。
毎日シンナーに侵されて毎晩晩酌して酒喰らって
脳ミソ絶対とろけてる43歳のはずなのに
このテールランプのメーカーの名前だけは憶えてたw
早速探し出してスイスでオリジナルもレプリカも扱ってるショップ見つけた。
「ASK」
怖ぇ、ビンテージブガッティのパーツの値段なんて怖くて訊けねぇ。。。。
ダメ元で谷保の画像ネットから引っ張って来て
「当方レストアのペイントショップでブガッティの入庫があって」とウソつくw
画像添付とウェブサイト見てくれて信用されたのか速攻で返信が来る。
「オリジナルは希少品故、ミントコンディションの物ですと少々お高めの〇〇〇〇ユーロですが
レプリカならお求めやすい〇〇〇〇ユーロですよ」
〇一個多いよ(泣)
ってかレプリカでも4桁ユーロかよ。。。。
そっとPCを閉じて泪酒。
でも捨てる神あれば拾う神あり。
そう、メタルアーティストのツネちゃんが
「多分造れると思います」と来た!!
ならばちょっと頑張っちゃうよ俺、で何とかレンズは見つけて来たw
モーターサイクルだから1個で上下赤でOK。
下がポジションで上がブレーキ、かな♪
オリジナルに敬意を表して勿論メーカー名は入れません。
でもこの見てくれで自分の車体のテールに付くだなんてシアワセ♪
ツネちゃん、お願いします~
しかしヘッドライト・フューエルキャップ・テールライトと
何でワタシは分不相応なモノばっか持ってくるんだろう。。。。
一応錆防止にタンクにちゃっちゃとサフェ吹いておいた。
リアサスを転がってた一番短かったヤツに差し替えていい感じだったので
どうしてもリアフェンダー持ち上げてみたくて
邪魔だった後ろのループ切ってやった。
タイヤとフェンダーの間に適当に詰め物入れて合せてみて
前後のサドルの下にも何か詰め込んでバランス見てみる。
因みにフェンダーのトコに詰め込んであるのはタイヤ止め、
前のサドルの下には廃エースのバンプラバー、
後ろのサドルの下はガムテープ(笑)
アンバサダー・エルドラドって如何にも60年代の車体でして、
ノーマルのフォルムだとリアシートがリアタイヤ端まで来る様な
リアアクスルより後ろに後部座席が来るような
後ろが直角の台形のフォルムなんですね。
これをソロシートとかで乗る分にはまぁ悪くないフォルムではあるんですけれど
とはいえかなり後ろに乗ってる感じになるんです。
カミさんも乗せて一緒に遠くへ行けるがコンセプトなので
このシート位置のバランスがどうしても気に入らない。
夫婦で出かけるスタイルがウチの車体なので
シングルシートではなくダブルのフォルムで美しい比率が欲しい。
これ、何とかならないかなぁと画策してたんですが
いかんせんシャフト駆動なので伸ばすに伸ばせない。。。。
っちゅうか何でアメリカ人このシート取付け方気持ち悪いだろwww
うーん、車軸の変更は諦めるしかないのかのぅ。。。。
と思ってたらガレージ33の千葉君が
「2000年前後のカルフォルニアのスイングアーム、ポン付けいけたよ」と朗報を。
シャフトもカルフォルニアの物用意すればそっちもポン付けらしい。
うおぉ、何たる有益情報♪
多摩地区、局地的にしか有益ぢゃない情報がいったい溢れておる(笑)
っちゅう事で遂に来た。オランダからカルフォルニアのスイングアーム来た。
横に並べてる時点でアンバサダーのより全然長い。
2000年頭のモデルのカルフォルニアが40年前のアンバサダーにポン付け。
BMWの確実なアップデートと違い、イタリアのそれは
単に企業努力してないからに違いない(苦笑)
いや、良く言えば遡る事半世紀以上前に造りだしたこの構造が
21世紀になってもまだ足るという事でもある。
天才的な発明や開発はするがその後努力しないのがイタリア人、かw
オランダの売り手がワタシの購入履歴みて
「お前、シャフトはアメリカから買ってたけどUジョイント買ってないだろ。
GUZZIはこれないと駆動しないぜ。やるよ」
と、掃除もされて無いスイングアームの中からこれがゴロっと出て来た。
海外の取引は日本のオークションと違い掃除なんかされてない方が多い。
というよりむしろされてると驚く(笑)
だけど時折こういうおまけつけてくれる事も多い。
確かに使えそうだ。何か有難い。
1日遅れでアメリカからもシャフト来た。
確かにその分長いわ、当たり前だが。
でも前日のスイングアームで大興奮してしまったから燃え尽きたのか
ワタシが外装屋だからメカニカルにはときめかないのか
スイングアームより高かったのに物の価値観理解ってないヴァカだからなのか
昨日の様なハイテンションにはならず油で包んでしまい込んで仕事に戻るw
錆で固着が酷かったが、一応外装のプロではあるつもり。
何とか外してロングスイングアームに交換。
またタイヤ止めとバンプラバーとガムテープでリア回りを設置してみる。
うん、予想通りタンデムシートより後ろにリアアクスルが来て伸びやかになった。
これで思い描いてるデザイン折り込めば
台形のフォルムの綺麗なラインは成立するんじゃないかな♪
伸びる事850㎜、更に下がった車高はもう一度考えるか。
フロントとの擦り合わせもあるから、もしかしたら310~320㎜くらいがいいのかな。
でも今の290㎜の下がりフォルムも捨てがたいなぁ(苦笑)
ステップもマフラーも取り回し配慮すれば段差さえ気を付ければこれでもいけそうだけど。
まぁ、センタースタンドはいずれにせよ廃止かリロケートだね。
そんな感じで折角の一生の思い出でもありますから
ここで随時こうやって制作記をUPして記録にしてみようと思いまする。
「制作過程で公表しちゃうとパクる人出てきちゃうかもよ」と
そんなアドバイスしてくれた方もいましたが、
こんな変なカスタムそうそうやる人いないと思います。
というかパクろうと思った方、名乗り出てください!
絶対話が合います!!友達になりましょう!!!w
PS:仕事の風景はもうすっかりFacebook任せになっちゃってます、
ホントすみません(苦笑)
Facebookされている方はワタシ田村宗正で検索するか
STUPID CROWNのページもございますので
宜しければご覧くださいまし。