2010年1月28日木曜日

実は超贅沢ペイント

今年初めにお預かりしたA様のBMW外装一式。
単純なレストアペイントではなく、
「このままのヤレた感じは大好きなので残したいのですが、
だからといって劣化させてはいけないので」で、
オリジナルのペイントの上にクリアコートのみ施工、
というペイント。


これ、単純に考えれば
「あ、上からクリアかけるだけね、楽勝♪」
と思われるかもしれませんが、
実は完全に塗り直すより手間掛かります。


まずリアフェンダー。
こちらはFRP製なのですが、
40年近い経年により
ステーマウント位置周辺がクラックとか欠けがいっぱいです。
でも表は極力オリジナルのままなので
裏側からこのクラックや欠けやFRPの剥離を地道に修正します。
40年も経っているとなると
そういうトラブル出易い箇所は
ほぼ先の職人が処置を施していたりします。
でもって、処置してるのにまた割れてたりします(苦笑)
表がペイントやり直しなら表からも攻められますが、
今回はオリジナル死守、なので
この先人の処置を全部取り除いてからレストアが始まります。


カリカリカリカリカリカリカリカリ・・・・



ふぅ、どうにか前の修正も除去して新たに施工出来ました。


でも「えぐれ」とか「割れ」が酷すぎて
どーしても表からも施工しないと強度出ない箇所も出てきます。
必要最小限でペイントします。
兎に角小さく塗るので、調色を9割以上のマッチングにしないと
「塗りぼかし」がバレます。
そんなこんなでミニマムペイントを4箇所くらい施します。


・・・シュ・・・・シュ・・・シュ・・・シュ(ミニマム、ね)・・


うん、これならどこ修正ペイントしたのか
理解んないでしょう。


先週、やっとこオリジナル死守の下地が終わり、
遂にクリア吹きつけとなったのですが、
これは一回では絶対に終わらないんです。

よく旧い塗装に見られる細かいクリアのクラック。
「カラスの足跡」とか職人はそれを呼びますが、
この足跡、そのままクリアかけてもめちゃくちゃにハジきます。
長年のワックスがそのクレバスに染み込んでいるのと、
上塗りのクリアをそのクレバスが吸い込むからです。
しかも長年ワックスかけてもらって大事にしてもらってたクリアは
そのものがもうたっぷりとハジキ成分になっちゃってるので、
どんなにしっかりシリコンオフしてもあざ笑うかのようにハジきます。
例えて言うならダッジオーブンみたいなモンです。
もう表面と脂分が一体化してるんですよ。
ならばより強力なシンナーとかでガシガシ脱脂すればいいのでしょうが、
旧い塗膜はそれに耐えられないでしょうし、
オリジナルのいいカンジでヤレた手引きのラインも
その行為で一発で落ちてしまうでしょう。。。


ではどうするか?
1工程捨てクリアを吹き付けるしかありません。
クリアを透明のサフェ代わりにするのです。


ちゅうコトで溶剤極力少なめ・ハジキ止め配合の
経験上から産んだスペシャル・ブレンドのクリアを
ガンガンに砥いでも大丈夫な位に吹きつけます。
















このスペシャルブレンド、
経験上下地は殆ど侵しませんが
肌は物凄く荒れます。
このゆず肌ボッコボコを
翌日当て板とペーパーでサフェを砥ぐ要領で
平滑になるまでひたすら砥ぐワケです。
でもこれ、サフェと違って固いので勿論大変です。
しかも砥ぎ過ぎて下が出てはThe ENDなので
神経を著しく消耗します(苦笑)
この「月面君」の砥ぎ始めはこんなカンジになります。















何度もやってるワタシでさえ不安になりますw
でもこのクレーターが消えるまで削るしかないです。

ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ・・・・



どうにか平滑になってくれました。















この時点で追い込めなさそうな深いクレーターに
面相筆でクリアを差し、もう一度削って
全て平滑になればいよいよ最終の本来の目的のクリアが入ります。
この捨てクリアが全部で5コート。
最後の上塗りが通常の3コート入るので
実はオリジナルにクリア入れただけにしか見えないこの作業、
フレークペイントばりのクリアコート数、
仕事されてるワケです。
あちこちに刻まれた微細なキズやカラスの足跡、
ミュンヘンのおばちゃん直筆のかすれた筆引きといった
長年生きてきた「証」はそのままに
その全てが現在の塗料の性能でガードされたワケです。


ね?実は超贅沢品でしょ!?

A様、お時間頂いてスミマセン。
あともう少しお待ち下さいまし。






レストア依頼のW1のメッキタンク。
オリジナルをまるで無視したライン取りで色入ってて
「なんか怪しいなぁ~」思ってましたが、
案の定、エンブレム下から前側、パテだらけでした。
パテ除去したら見事にボッコボコでした(泣)



















パテはメッキ乗らないので、
「タンク下切開して中から叩くしかないかな~」思ってたんですが、
もーそんな話以前です。
既にスライディングハンマーで引っ張った痕があります。
しかも点で強引に引っ張ったからか、破れたんでしょうな。
所々ハンダ盛られてます。
おいおい、もう鉄板メケメケぢゃねーか。
もう引っ張る余地がこれぽっちも残ってません(泣)
残るはワタシが盛りハンダでプレスもラインも再現するまで成型するか
どうにかしなきゃなりません。
こちらも別の意味で40年の歴史を感じます。。。




最近、嬉しいコトなんですが、
レストアのハードルがゲシゲシ上がってる気がします(笑)
ワタシ、背ェ低いので飛べるハードルには限界あるっちゅうのにw



最後に。
昨日お預かりしたK様のHARLEY。
タンクの上蓋外してビックリだす。
ガソリンの入る中にメカいっぱいだす。
昭和な乗り物ばっか持ってるワタシには刺激強すぎます、この光景w


ドキドキドキドキ・・・バクバクバクバク・・・・

電気流れてガソリン引火しないんだろか?
勝手に暴走して心配するワタシ。
当たり前ですがしないからそこにいるんでしょうが、
物凄げー不穏に陥ります、ワタシ(笑)
ま、大丈夫なんだよね?ね?・・・ね?


怖ぇ、怖ぇよおぉぉぉ(泣)
(K様ごめんなさい。絶対大丈夫だと思いますw)




















以上、
「最近VMXのカブしか弄ってねーんじゃねーの?」
と言われそうなのでお仕事日誌でしたw

6 件のコメント:

  1. おおっ!なんと贅沢な!
    こんなに手間隙かけてキレイにして頂いてうれしい限りです。仕上がりを楽しみにしてまーす。
    急いでませんから大丈夫ですよー。
     
    /5のA

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  2. 読み応えのある日記ですね。
    テクニックと地道な工程、勉強になりました!

    僕も作るばかりじゃなくて、たまに他所の革の修理を頼まれる事があります。日記を読ませて頂いて思ったのが、革とチョッと似ているなぁ~って。

    じつは革はFRPに組成が似ています。とくに堅い革の場合は、濡らして乾燥を繰り返したり、荒く酷使し過ぎると、絡み合っている中の繊維組織がほぐれて破断など、見ため以上に弱ってきます。ひび割れてくる革の表のギン面は、ペイントでいうとクリアー層みたいだし。

    修理系は製作系以上に手間が掛かりますねぇ~。
    う~ん、贅沢だ!

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  3. え?ハーレーのこの配線はいつもガソリンに浸かってるの?
    いやいやいや(笑)。スゲーですねアメリカ人!!

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  4. /5のA殿
    いえいえ、
    こちらこそお時間快く頂戴させてもらい
    恐縮しきり、です。
    「職人急かしていいコトなし」、
    このご恩はキチンと仕事でお返し致します(笑)

    来週中には完成予定ですので
    暫しお待ちをば。

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  5. stovlサトー殿
    おおぅ、コメントどもです~
    実はワタシも他の職人の方の仕事話、
    大好きなんですよ。
    何というか、その細かい内容が理解らなくても
    その工程一つ一つに賭けている「想い」みたいなもの、
    これが凄く読んでて伝わってきちゃって、
    一人で盛り上がってしまうんです、ワタシ(笑)

    そう!修理って、もうそのオーナーの「入れ込み」も
    インストールされてるから、
    こちら側の入れ込みはテクニックにだけ集中しないと
    そのオーナーと最終地点が「ズレ」ちゃうんですよね。
    製作(カスタム)とかはこちらのセンスも試されますが、
    修理(レストア)は如何に関わった自分がヒドゥンするか。
    出っ放しでもなく、引っ込みっぱなしでもなく。

    これだから毎日が面白いのかもしれません(笑)

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  6. ODA殿
    落ち着け!!落ち着くんだ、おっさん!!!
    車ではもうこれは世界中当たり前のコトじゃ!!
    昨今ではモーターサイクルもそうなった、
    ただそれだけのコトじゃ!!

    知らない我々が慌てるのも無理はない、が
    落ち着け!!落ち着くんだ!!!w

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