2025年12月8日月曜日

HRCS2025。

 先ずは今年のテーマ展示、ピーナツタンクのブースへ。


いました、一体成型のサンダー。


言われなきゃこれが内燃機250㏄とは思えない風格。
オーナーさんとも出会えて喜んで戴けて
こちらとしても職人冥利にございまする。

すぐ隣にマジもんのピーナツがおったw

アッーーー!!!

会場で同じような一体成型の車輛見つけました。
しかもこれまたフレイムス。
これ塗ったペインターさんの過酷な作業、
シンパシー感じて涙が止まりません。

個人的には今年はこれを見に来た。
ドイツのビルダーが造ったストリームライナー。

丁度エンフィブースに河野さんいたので
めちゃくちゃ詳しく色々訊けた。
シッピング事情から裏側話面白かったです。
河野さんありがとー。

アルミだと思うんだけど物凄いストレートボディ。
地金でなし得てるのかパテワークなのかはわかりませんが
いずれにせよ達し得るフィニッシュには脱帽です。

ここ好きなのよ。
こういう素敵な無駄(笑)

私もGUZZIで目指したコンセプトがストリームライナーや
火炎様式(フランボワイヤン)でしたが、
流石にここまでやる気はなかったので(これ全長3.5mもある)、
いやはや眼福でございました。

車坂下、野呂さんのショベル。
8月に神戸のニューオーダーに持って行ったあれのリメイクです。
8月の時は販売開始されたレプリカフレームのお披露目というのもあり
地金無垢フレームに合わせての未完成合わせでしたが、
今回しっかりフレームも塗って外装も仕上げた感じですね。
ピンストライプは勿論ホッピングシャワーのテツさん。

エキモ、ケンタのXS650。
残念ながら2年連続のドメスティックアワード獲得ならず。

正直ケンタも私も自信あったので悔しかったっす。

で、今年ベストドメスティック獲得したのがこれ。
インドネシアのビルダーの作品。


凄いな、エンジンもフルカバードされてるから素性わかんない(笑)
一瞬EVなのかとも思ったけど
それだとこのショーにエントリー不可能だろうし。

フルカバードされてるけど形状から水平エンジンよね。
フロントは潔くリジッドなのかもしれない。
フォークが動ける余地(フロントタイヤとフレームの隙間)無いものね。

まじまじと観るとクランクを這うように立ち上がってるのがマフラーだね。
という事はキャブすらもカバードされてるのか。

しかしマジで凄いな。
多分カバードの中にリアサスも隠れてるとは思うんだけど
スイングアームがどう動くのかもわかんない。

日常で乗れるのかは正直わかんないが
流石にここまで作り込まれるとアワード獲得だわね。
凄かったです。
(後でビルダーさんにお話し伺ったらEgカブだそうです)

このBSAなんだかいいな♪
ローチャリみたいで気軽に乗れそう。


これも結構好き。
ハンドルチョップし過ぎで怖いけどね。
デカいGUZZI完成したから今は気分がコンパクト求めておる(笑)

このチーターさんのBUELL。
Sペイントさんに4日前の水曜にペイント持ち込まれてた。
他人事ながら同業なので「間に合うのかこれ」で
めっちゃドキドキしながら観てた(笑)

このBMWはカッコよかった。
ベストカフェレーサーと他ダブル受賞してた。
まぁするだろうと納得して観させて頂いた。

このスラッシュのタンク、
ケンタの切り刻んで溶接したタンクとはまた別の方法論で。
元のラバー貼り付ける窪みに見える所は元の基準点のままで、
その周辺を盛り上げて凹んでるように見せているギミック。
でもこれならヘヴィな溶接でガソリン漏れの心配もないし
要するに「見せ方」の錯視を上手に活かしたものでもあります。

そしてフロントはサイドカー引っ張ってた時代のBMWの特徴である
アールズフォークを綺麗にリメイクされてる。
ホール開いてる2リーディングのドラムブレーキや
インバーテッドレバー(ハンドルの端から生えてるタイプのレバー)も綺麗。
フロントタイヤがアコレードの縦溝タイプ、
リアタイヤがオールステート選んでるのも
全く私のGUZZIで選択したチョイスと同じで
ちょっとそれも嬉しかったりします(笑)

とても良いもの拝見しました。
もう私がBMWのロッドショー車輛塗る事はないと思いますが
刺激たくさん受けました。

と思ったらBMWもう1台いた。
こっちはまぁまぁノーマルでしたけど。
でもこちらも綺麗なフィニッシュでした。

でもこっちもフロントカウルは似た感じの造形だった。
まぁこれは現行4輪のBMWのフロントグリルからインスパイアされたんでしょう。
最近のBMW、グリルがどんどん大きくイカちぃ雰囲気になってますからねw

最後にM-Craftのローリーさんのブースを、と。
おぉっ!Blasterのアワード獲得しとるやんけ!!

おめでとローリーさん♪
私も嬉しかったっすわ!!
これでコロナで開催中止になった年除いて
私、なにかしらのアワード13年連続で戴く結果となりました。

思えばロッドショーに携わる様になって20年ちょい。
初めの頃ってまだ30代だったし
立川にもLOOSE FITというセレクトショップもあったおかげで
毎年ロッドショーは皆でワイワイと赴く感じで行ってましたが、
ルーズフィットもなくなり、皆も結婚して家庭持って
少しずつモーターカルチャーからは程よく距離を取るようにもなり
(でも降りてはいない人の方が多いです、
最前線カルチャーからは距離を取って自分のペースで乗ってる感じですね)、
立川から向かうのは私1人となりました。

でも会場に着くと20m歩けば声かけられる感じとなり、
トイレ行きたいと移動してトイレ辿り着くのに
1時間かかるような感じとなり(笑)
これもまた嬉しい話でもあるんですが、
改めて年末のパシフィコには「仕事」に来てるんだな、と。

もう出すだけが目標だったターンも終わり、
10年前くらいからは
「ペイントしたショップのどこかしらがアワード獲れれば」
と願うように赴くようにもなり。
獲れれば心の底から安心してようやく気が抜ける場となり。
もうこれ、戦場ですよね(笑)

獲得できれば嬉しい。出来なければ悔しい。
もうそのレベルのショップと繋がってるのが
この年齢に達した私も負う責任のある責務。
これが今の私のロッドショーでもあります。

でも、そんな第1線にいられるのも嬉しい事です。
私には無論もう1つの顔、レストアペイントもあります。
こちらはこちらで年々レベルが上がって大変です。
泣きながら酷過ぎる下地との闘いを繰り広げています(笑)
でも、どっちもやってるからこそ愉しいです。
マキシマムザホルモンの歌詞で言う
「牙はまだ生えておる」
で、やっていこうと思いますw

2025年12月7日日曜日

Crystals。

ラストはエキセントリックモーターサイクルのケンタの車輛。
毎回ケンタは結構余裕もって入庫してくれるので
他の外装終わるまでの間にEg搭載も前後タイヤ装着も
配線もと色々済ませられますからね。

で、ケンタは私同様1人きりもりなので
毎年フレーム先行持ち込みと同時に
その日2人でEg搭載までしてます。
というよりケンタもう10年以上
この作業まで私にさせるのデフォルトだと思い込んでるフシがある。
まぁ慣れた2人でやった方が間違いないからやるけど(笑)

で、もうマジで余裕なくなってたんでもう完成画像(苦笑)
リアフェンダーはどうにかなった。
一気にこの4色グラデーションペイントやったんだけど
マスキングに次ぐマスキングなので集中力ハンパないのと
多重マスキング故に先のグラデーションが食いつき負けする事があり
全てのマスキング剥いだ時に塗装が持っていかれちゃう事があるんす。
持ってかれた時の膝からの崩れ様ったらないんすよ、これ。
13時間近くかけて施した塗装が水泡に帰すわけですから。

正直リアフェンダーも結構危なかった。
数か所マスキング負けして剥げてしまいましたが
幸いにもパーツ組んだら観えなくなる箇所。
電装ケースはマスキングに余裕あるデザインだったので問題なし。


で、タンクが駄目だった。
何か所もマスキング負けしてしまった。

駄目だったものは仕方ない。
先にまた電装ケースとリアフェンダーだけ納品して
タンクはじっくりやり直してギリギリで納めさせてもらう。
そもそも塗ってはみたものの何だかデザイン気に入らない。
下地の薄いメタリックグリーンはクリア完全硬化させてあるので
この失敗グラフィックは全てラッカーシンナーで拭き取って無に戻す。
リアフェンダーの砂時計落ちてるみたいな
或いはベネチアガラス引っ張った時の模様みたいな
エンド部分奇跡的に無事だっただけでも良しとしよう。
ロッドショー1週間前、
このタンクだけに集中してノーミスで完成させよう。

外側の一番濃いグリーンから1色ずつ施してはクリアかける。
次の日左右と上面3面を近赤外線で強制的に炙り倒し
また水研ぎして次の色施す。

これを毎日4日間繰り返し続ける。
手間はかかるけど1色ずつの作業は安心感がある。
クリア入れてるから剥げるトラブルも絶対起きない。
安心してラインテープ貼れるのは精神衛生上めっちゃ大きい。
安心して次の色のライン取り出来るのは素晴らしい。
ワンミスで納期アウトというプレッシャーは勿論あるが
「これなら収められる」という確信の方が勝るからね。


毎日同じルーティン繰り返すから
全部の作業に慣れが生じて手が勝手に動くのは利点。
欠点はマスキングのゴミが毎日めっちゃ出るw

じっくり対峙してしっかり完成。

デザインも最初に施したサイド楕円よりも遥かに良い。
ケンタのメタルワークの造形こっちの方が断然際立ってる。



ショー4日前に納めるというギリギリだったけど
1色ずつやってデザインもリテイクして良かったと思う。

納まった。
装着してみた。
おおぅいいじゃないの。





こちらの投稿、
ロッドショー当日の朝9時公開で設定しておきました。
来場される方は生でご覧くだされば幸いです。








2025年12月6日土曜日

MY SHARONA。



今年のロッドショー車輛2台目。
車坂下の野呂さんトコのTHUNDER MOTORCYCLEですね。
野呂さんが立ち上げたブランドで
国内での販売展開もさることながら、
昨年より東南アジアでも販売を開始、
遂に今年南米ブラジルとも契約を達成し来年より販売開始、
今ラストに欧州狙って販売を拡大しているバイクで
もうある種メーカーといってもよいでしょう。

勿論数ある国内の販売店でも車坂下は
当たり前ですがフラッグシップショップ。
元より何度もアワードを獲得してきた野呂さんですから
このサンダーもビルダーの真価の腕発揮すべく
がっつり臨むようです。
で、10月初め身包み剥がされたサンダーの画像が来ました。

次の週にぶった切られたサンダーの画像が来ました。
まぁ我々の業界ではここまで調理するのもザラなので
私もこれ観てそんな驚きません。
一般人からすれば取り返しのつかない事してるみたいな感じですが
正直業界に居過ぎて感覚マヒしてますw

また次の週フレームが構築されていきました。
ディメンション決まったみたいですね。
キャスト角結構寝ていてロングフォークですが
ネック位置立ち上げてセットアップしているので
こう見えてそんなに乗りにくいものにはならないようです。
この辺の計算式が数多く手掛けたビルダーの経験値とセンスです。

次の週タンクがセットアップされていました。
ん?待てよ!?
まさかこれ・・・・・

エキモのケンタも野呂さんも許さねぇwww

そしてまた次の週。
徹底的に身包み剥がされたこれがウチにやってきました。
もう腹くくりましょう(笑)

フルスクラッチ・フルスムージング・フルモールディング。
それが同時進行で2台分こぞって入庫です。
眩暈がします。
もう1度言います。
ケンタも野呂さんも許さねぇwww

どうにか形にします。
サフェ入れて更になだらかに研ぎ上げます。
ペインター、虫の息です。

1色目塗ってクリア吹いて完全硬化72時間待ちます。
で、メインメニューの全身TATTOOを施します。

ケルンの大聖堂とかの天井画描いた人マジで尊敬します。
全身ペイントでタンク一体成型だから無下にひっくり返すワケにもいかず、
この状態のままマスキングしてフレイムス描いて
この状態のままアートナイフ走らせます。
ペインターの命風前の灯火です。

やりきりましたよ、4日間がっつり集中して。


勿論タンク裏もね。
このフレイムス全部繋がってる一筆書きです。

自分で言うのもアレですが物凄いインパクトです。



おかげさまで中々にエグイ車輛が完成しました。
間違いなく現在一番ヘヴィなカスタムされたサンダーでしょう。


こちら今年のロッドショーのテーマ「ピーナツタンク」の展示スペースにて
お披露目されるようですので、
明日ロッドショー行かれる方は
是非ご覧くださいまし。