2017年3月12日日曜日

「モノ」の価値をどう捉えるかという話。

こないだ、OPENさせて間もない井開君のお店、
「Hoo Ikai and Passion Lethers(ホーイカイアンドパッションレザーズ)」
にお邪魔させて戴きました。


こじんまりとした雰囲気の良いお店(工房)の中で
迎えてくれた井開君。
開業おめでとうです!

ワタシも職人故、観た事も無い工作マシン達がずらりと並ぶ光景は
どうにもこうにもそそります(笑)

多分ワタシがコーフンしてモジモジしてるのを
「Muneさんおしっこしたいのかな」ではなくちゃんと読み取ってくれた井開君(笑)
目の前で一つ一つ作業を見せてくれました♪
おかげさまでコーフン通り越して失禁しましたw

機械にそっと添えられていた息子と井開君。
「絶対にこれで家族支えていくんだ」という
彼の気骨が溢れている気がします。
「正直駅前にある様な靴の修理屋さんの機械より遥かに高額でした」
というこのマシン。
しかしそれもまた井開君の気骨と
あらゆる仕事に対応してみせるという表れだと思います。
一つ一つ丁寧に作業を見せてくれた中で凄くそれが伝わりました。

因みにこのお店の前の看板、ツネちゃんの作品です。
ロッテ・ライニガーの影絵の作品みたいで
どこか暖かい懐かしい感じの佇まいでいいっすね♪
少し低めに構えたこの看板にも井開君の思いがあって、
「靴や鞄を大切にしてくれる年齢層ってご高齢の方が多いと思うんです。
だから腰の曲がったおばあちゃんが目に出来る高さにしようと思って」
なるほど!それは面白い(笑)
「あと、同じく目線の低い地元の子供達が成長して困った時に
あぁ、確かあの道沿いに修理屋さんあった気がする、って
思い出してくれた時にウチがあればいいな、って思いも込めてます」
そう、やっぱり長く続けたいっていう気持ちが込められてます。


そんな彼の仕事を支えている機械達。
今ではこの機械自体が生産中止になっているものも多いそう。
もう靴や鞄を修理していつまでも、という時代ではなくなっているのかもしれない。
それはそれで寂しいね。

「例えば革自体が破れちゃったとしてもそれも治せるの?」
「ええ、勿論です。色も併せて再現できるので
革の厚さも質感も再現して修復可能です。」
うん、これってワタシのレストアと全く同じだね。
もう一度使ってもらう為のリフレッシュ作業。

彼と話して作業みせてもらって
同じ考え方で同じ姿勢で向かっているんだね、って
凄く共鳴させて戴きましたです。

でね、今回彼のお店を訪問したのはこれの修理を頼んでまして。
20年前にふと見つけて購入したボウラーシューズ。
Lambrettaブランドのものです。
ふと見つけて購入しただけのものでしたが凄く気に入ってまして
だいぶ履きました。
おかげさまで革はワタシの足に馴染んで余計にお気に入りに。
でも20年はやっぱりくたびれて
遂にはソール(底)が剥がれちゃう始末。

これは流石にもうダメかな、と思ってた矢先に
井開君よりTRIUMPHの外装のペイント依頼がありまして
そういえば井開君、独立して開業したって言ってなかったっけ?と相談したところ
「これなら全然復活しますよ、任せてください」となりまして
トラの外装とボウラーシューズを互いに交換して互いに腕を振るうという
奇妙な結果と相成った次第です(笑)

気に入り過ぎてしょっちゅう履いてるモンだから
「いいな、ワタシも欲しいな~」で見つけて来たカミさんのが下の。
その時にはもうこのLambrettaブランド消滅してて
何とかネットで見つけ出して買ったんです。
これで比べると理解り易いんですが
今回ラバー(生ゴム)と靴の間のレザーが2枚挟まれてます。
「Muneさんお気に入りで凄い履くって訊いたんで、
歩き回った時の足の負担減らす為にも底のレザー2枚にしました」だそうで。
更に靴の中に仕込まれてるシャンクと呼ばれるスプリングみたいなもの。
「元々木製のものが入っていて左右どっちも折れてました。
それ観てホントに凄い履いてるんだなって判断出来たので
今回はシャンクはメタル製にチェンジしてあります」だそうで。
何かめちゃくちゃそういうの、嬉しいんですけど♪

因みに井開君は修理前と後では違いに気付かない位に
そんな風にナチュラルに仕上げるを基本理念にしているようですが、
今回ワタシが持ち込んだシューズが余程くたびれていたのでしょう。
履いた瞬間に「違い」がわかり過ぎました(笑)
これでまた20年履けそうです♪凄い嬉しい♪
正直お値段はそれなりにします。
20年前のこのシューズの値段と同じ金額です。
ですがワタシはその値段でまたこいつが復活して
ワタシと共にまた街に繰り出せる事の方が満足です。
そう、これが今回のタイトルです。
「モノ」の価値をどう捉えるかという話。
同じ金額なら新たな出会いを求めるのもまた一つの選択肢。
でもワタシの様にまたこいつと共にしたいというものまた選択肢。
そんな時に彼のお店の扉を開ければ
彼が気持ちに応えてくれると思います。
井開君、ホントにありがとう!

Hoo Ikai and Passion Lethers
〒161-0033
新宿区下落合3-21-4 1F
℡03-6908-3031

皆さんも大切にしているレザーグッズで修理・リペアしたいモノがあれば
是非問い合わせてみてくださいな。


余談。
そんな彼の持ち込んだTRIUMPHの外装。
「Muneさんすみません、外も中もかなり錆びてるんですけど」
「井開君、この表面のサビ、本物も詰ってるけどペイントだよこれ」
「ええぇっ!!!・・・ぁ、ホントだ・・・・」
オーナーすらも騙し通した前のぺインターに
ワタシは最敬礼をして作業に向かいました(笑)

剝いてみれば下地は凄いボッコボコでした(苦笑)
引っ張り上げて馴らしてハンマーでコツコツ修正していきます。

一つ一つ馴らしては仕上げていき

叩く・炙る・絞めるを繰り返しなだらかにしていき

こんな風に仕上げました、美しい凹みはそのままに(笑)

60年前の車体なので外装だけがピカピカにならない感じで。
何個かは凹み残して生き抜いてきた風合いに馴染ませて。
でもサビサビとかラットではなくて
そこはちゃんと愛されて大切にされてきた感じで。

映り込みの蛍光灯がぼやける感じのクリアで。
「え⁉これで塗り終わりなの⁉」
ペイント=ピカピカのツヤツヤというイメージの方もいるかと思います。
そう、これもまた今回のタイトルそのものです。
「モノ」の価値をどう捉えるか。


という話(笑)
人の趣味・嗜好は人の数だけあり。
だから面白い♪

2 件のコメント:

  1. 杉山 隆 taka _sugi_5386@docomo.ne.jp2017年3月12日 8:44

    愛着と共に長く使い続ける心を支えてくれる頼もしさを感じました。

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  2. 杉山殿
    今や大量消費の社会になって久しいですが、「一張羅」という言葉の意味合いが薄まりつつある中、ワタシの仕事もまた旧車の再生復活という点で、彼と非常に共通点が多い故、ジャンル違えどこうして再生の手助けをしてくれるお店がある、とお伝え出来ただけでも当方も嬉しい限りです。

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