2015年12月9日水曜日

伊勢谷氏のヘルメット。

さて、前々回の怪電波で少し触れた伊勢谷氏のヘルメット。
2個依頼されてその1個がこれ。
どちらもモチーフはご自宅に装飾されているステンドグラスだそうで、
こちらは文字だけで比較的容易だったのでちゃっちゃと作業終えて
こんな感じで「出来ましたよ~」と報告したら
「制作するその過程をみせてもらうのこそがワンオフ作成の醍醐味っすよ~」と
伊勢谷氏にご指摘受けて
こちらで紹介するもう1個はかなり作業写真撮りましたデス。
というかそういう過程も含め全部愉しむ伊勢谷氏、素敵デス♪

上のメットがソリッドのグレーにエンジで文字というシンプルな造りなので
こちらはもう猛烈にぶっ飛ばす事にします。
下地にギラギラの粗いフレークをこさえておきます。

なにせモチーフのステンドグラスがこれですから。
もうぶっちぎってアバンギャルドにやらせて戴きます(笑)

先ずはギラッギラのフレークをがっつり砥いで平滑にします。
まぁ見た目もちょっと落ち着いてくれないとこっちも目が眩んで作業になりませぬw

エアブローして水気飛ばしたらマスキング。
今回はモチーフをぶち抜きで描く予定なので
取りあえず全周に渡ってシワ出ない様にマスキングテープを施していきます。

今までに体験した事の無い画風。
というかワタシ、ハードコアパンクのジャケとかそんなんばっか描いてきたから
そもそも生きてるもの描く事が少ない。
死体とか骸骨とか化け物しか描いてこなかったワタシにとって
もうこのモチーフ自体が大いなる挑戦w
「生き物に観えますように」と慎重にトレースしていく。

さて、やるか。
まぁこっから先はワタシの得意なあれです。
同じ色の部分のマスキングだけカットアウトして剥いては
エアブラシでキャンディで色を入れて乾かしてはマスキングを戻す。


日を開けるとどこ塗ってどこ塗ってないのかホント理解らなくなるので
寝ずに全部一気にやってしまいます。
今この時点で3色入れた状態ですね。

このキャンディの段階でもモチーフ頭に入れておいて
濃淡つけて躍動感と深みのメリハリを出しておきます。
プシュー。

色入れ終わった個所には✖入れてマーキングしておきます。
まぁそのうちマスキング色付いちゃって
何が何だか理解らなくなってきますが(苦笑)
実は今回動物モチーフで一番困ったのが色そのもののチョイス。
動物って基本アースカラーで白黒の濁りが入りますからね。
いくらなんでも全部の動物が濁り入ったら
下地にフレーク使ったキャンディにした意味が全否定になります。。。。
元のステンドグラスに似た最大限のキャンディに置き換えつつプシュー。

中央の人間がマスキングの色で涅槃のブッダになっていく(笑)

元の位置へマスキングを戻すとはいえ、
0.1㎜単位でドンピシャで戻るとは限らない。
そこに次の色が侵入しちゃうとキャンディだから取り返しつかない。
だから作業始めて12時間以上経過してくると
他の色侵入防止で更に上からマスキングがペタペタ貼られていくので
こうしてメットが「マミィ(ミイラ)」になっていく(笑)


もうどれ位作業してたか理解らんくなってきた。
それでも朦朧とした意識の中で塗ってない個所が無いかチェックする。
あったらマスキング剥いじゃってからでは取り返しつかない。
でも塗ったマークの✖が全部埋まっちょるがや。。。。


ミイラの包帯状態だったマスキングテープを剥がすと
一番最初のマスキングが顔を出す。
もう考古学やってる気分。
これ、飛鳥山古墳だよ、もう。
教授、やりました。絵出てきました(泣)


総ざらいチェック。
ここで色抜け発見したらそこマスキング貼って寸分違わずくり抜いて
エアブラシで色入れなきゃ。
100ピース以上あったのに今回全部OKでした。

元のステンドグラスは背景の青は1枚ズドン、のガラスなんですが
こちらはメットにステンドグラス調なので
ガラスのモザイク効果出したいので数ピースにカット。
カットのバランスは昔自分が吸ってた煙草のGITANESのパッケージ参考にした。

おおぉ、よく頑張ったな俺。
震えて落っことさない様に慎重にブースへと運ぶ。


ここで各部段差が消える位までクリアコート。


これで一旦布団いに駆け込んで泥の様に眠って体力を回復させます(笑)


後日砥ぎつけて平滑にしてから残りの作業開始。
ステンドグラスの「枠」をこっから先は筆で描いていきます。

当たり前ですがこれも描き損じはNGです。
場所によってはもう拭き取れません。
ライン引っ張る度に息止めてるので
多分この日ワタシは通常の半分も呼吸してなかったと思いますw


すぐ上の画像と比較するとわかりやすいと思いますが
ステンドグラス風に見せるのにそれぞれのラインが合わさる点・ぶつかる点、
そこを黒を多めに湾曲して塗りつぶしてあげると
ステンドグラスっぽい質感に人間は感じる様になります。
もしかしたら現在のステンドグラスはもう角もソリッドに作れるのかもしれませんが
人間の持ってる潜在意識のステンドグラスってやっぱり中世欧州のものとか。
だから角が丸まってる描き方の方がステンドグラスっぽく見えるかな?と。

お昼前から始めて片面終わった頃にはもう日が暮れてました。。。。


筆の「運び」と言いますか、筆の走りっぷりの「センス」と言いますか、
この作業なら途中で止めて翌日やろう、も出来なくもないんですけど
一度切り上げて再開すると何ていうのか、筆の「質感」が変わるんですよ。
なんかもうワケ理解んない話しててごめんなさい(笑)
でも何かそういう統一感の無さ感じちゃうので
このまま右も一気にいってしまう事にします。


勿論「無理。もう目が無理限界」とか
「明日朝イチでレースある」とかなら切り上げます(笑)
でもまぁそんな日の前日にこの作業入れませんし
疲労よりも「行こう!!このまま行こう!!」という感情が勝れば
そっちに従って続けます。
地味で繊細なワークはそういう心理的勢いの意見訊いた方が結果良い事が多いデス(笑)


で、遂にラストのトップコート。

キャンディペイントのステンドグラス調のペイント、完成しました。

もうね、完全に素晴らしい世界旅行。
頭の中で久米明氏のメロウな声。
この木何の木気になる木。
これ全部40代以上の人にしか通じない世界www


毎回このステンドグラス調ペイントは、やって地味で膨大な作業量に後悔するし
泣きながら意識朦朧でやるのですが
完成すると自分でも「綺麗だなぁー」と魅入りますし
その達成感がハンパないのでこの時点では清々しいのです(笑)

しかしこれ、絵柄がブチ抜き過ぎて
どっから撮っても全体像取れない(苦笑)

困った挙句にワタシは伊勢谷氏に完成図を


動画にて送りましたwww
勿論演出(BGM)もそれっぽいの引っ張り出して(笑)














これで今年後半のビッグプロジェクト、全部終わりました。
伊勢谷氏、面白いお仕事&オーダー、
ありがとうございました♪


PS:素人ではどうしても撮影できなかったカメラ撮影(静止画)、
ヘルメット内装も完成してご友人のプロカメラマンさんが撮影されるのであれば
ワタシにも画像、ください。
動画ではHPのギャラリーにUP出来ませぬ(苦笑)
















2015年12月7日月曜日

WEST TOKYOの仲間たち。

昨日の横浜HOT RODカスタムショー。
前日より46worksさんのブース設置手伝いで横浜へと赴きました。
もう何だかんだで10年間、年末はここ横浜でぐったりするのが通例です(苦笑)

前回お伝えした伊勢谷氏のBMW。
あのタンクでどうしても納得できない部分があり
単品預かって最後の最後まで仕上げてました。
土曜日早朝、廃エースに手伝い要員のRyozzy君と息子の大樹、
そして3時間前まで磨き込んでいたタンクを載せて横浜へ。
あれ、まだ46さん来てないや(笑)

先に着いた我々はアムンゼン隊。
後から来るスコット隊はさぞや悔しい思いをするでしょうw

来た(笑)
恥ずかしいから二人で速攻でタンクを装着するw

ギリギリまでやらせてもらって良かった。
おかげさまで超絶ベストな状態でロッドショー迎える事が出来まする。

もう1台のKTMは火曜日に徹夜で仕上げてそのまま46さんとこまで
廃エースで山梨まで持って行った。
徹底的に軽量化されたアルミのボディ、運送会社には任せられんかった。
「The RIDE」を出版されたドイツの方とお話しする。
向こうもドイツ人だし物怖じせず適当な英語で喋る。
何だかんだ全部英語堪能な河野氏に助けてもらうw


さて、ブース設営。
おぉ、地下足袋姿の本職連れて来た!!と感心してたら
地下足袋姿Hさんは植木屋さんでした。

しかし見た目は本職としか思えない。
なのでクオリティも本職ばりとなる。凄ぇ。
人は見た目、だ(笑)


因みに現地組み立ての彼らは全部に番号振ってあり、
あとは設計図通りに組むだけ。
まるで秀吉の「一夜城」だ。

皆で担いでお立ち台に載せていく。

で、こう落ち着く。
では最後の磨き拭き上げでフィニッシュ作業しましょうかね。
磨き終わった時点で46さんが
「あっ、チョッパージャーナルさんの撮影依頼あったんだった」と叫び出し
もう昼飯食ってから降ろして撮影行こうとなる。
で、どういうワケだかワタシが10年間食いに行ってるタイ料理屋に行く。
何で10年間もそこ通ってるのかはワタシも知らんw

飯食って戻って載せた車体を皆でまた降ろして撮影場所まで押していく。
ワタシがKTM、46さんがBMWを押して会場の外までえっさほいさ。
46さんが押し歩いてヒィヒィ息が上がってる。
この人筑波とか富士載せて走ったら早いのに押すのは苦手なんだな、と知る。
いや、連日の徹夜作業で弱ってるからであろう。
ん?ならばワタシもヒィヒィ息上がっててもおかしくはないはずだ。
いや、KTMとBMWでは重量が相当に違う。
ま、そういう事にしておこう。
同じ43歳同士でこんなつまらん事でパンチ合戦してもつまらんwww
Photo by:Ryozzy君。



押して戻ってる最中、ケンタに遭遇。
今年は車坂下モーターサイクルの野呂氏と合同コラボで出店。
車種は何とDT250。2ストかよ(笑)
「いやぁ、疲れたけど学ぶこともいっぱいありました。
また自分が大きくなった気がします」
というケンタは自分の制作した車体に載っちゃう位に小さく縮んでた。


当日はこんな感じのディスプレイでした。
再設置も終わったのでここで廃エース組は撤収。
夜は徹夜明けになかじがウチに来たので呑んでたら気絶しました。
翌日起きたらもうお昼。
谷保の旧車祭りはパスしてロッドショー直行デス。。。。



でもって着いたらやおら声掛けられるので立ち止まってお話ししまくってたら
何も撮ってない事に気付く(苦笑)
なのでここからは皆さまより超無断で画像拝借でゴザイマスw
伊勢谷氏BMW、纏まりました。

元はこれ、です。
比較画像拝借:Abeさん


アート的感性の鋭い伊勢谷氏と対峙して制作したこの車両。
ワタシとしては非常に愉しかったですね♪
「成程!そういうビジョンで来るか!!」というところもあったり
「いや、これはプロの経験上譲れない」というところもあったり
具現化していくにつれ変更になっていく過程とか皆が共通でそう感じてたり
意外な一言がやってみたらばっちりだったり。

まさに関わった皆で「紡ぎ合って」完成した1台だと思います。
夢の1台のお手伝いが出来た事、
夜中に電話とFBのメッセンジャー駆使してあーでもないこーでもないと
真剣にテンション高めで打合わせした日々。
伊勢谷さんの昂ぶる1台になってくれていれば幸いデス。
これから先貴方がこの車体と紡いでいくストーリー、
いつまでも見守らせてくださいまし♪

そして前回UP画像だけお伝えしたKTMのRC8。

これが元の形。比較画像拝借Abeさん(笑)

水冷・現行・ラジエーターの存在・パフォーマンスの維持。
これが前回書いた「新たな挑戦」でした。
180馬力もある怪物。
ライディングポジションも操舵性も何一つスポイルする事無く仕上げる。
メーカーから託されたプロダクションと、そこまで解釈を昇華して気負ったカスタム。
46さんの中に絶対そこまでの自負心と技術のバックグラウンドあるだろうな、と
長い付き合いで確信してましたので
カラーリングも仕上がりもプロダクションっぽくシンプルに上品に。
だからこそアルミのバフ抜きもクリアで埋めて段差無くして見た目スムーズに。
メーカーロゴの大きさも想定してきた46さんの意を汲んでの仕上げ目指しました。
どうしても空冷オールドスクールになりがちなカスタムの世界に
これが風穴開けられればいいな、とそんな気持ちで関わらせてもらった1台です。


で、そんな想いで関わったこいつがベストヨーロピアンアワード獲得です!!
やった!!或る意味ホントに風穴開いた!!
来年からレースに出走する或る意味「本物」が獲得できたのが嬉しい。
カスタムという概念に新しい選択肢としてこの車体を解釈して戴ければ
本当に嬉しい限りです。


ツネちゃんの造るヘビのサイドスタンド。
こちらの方がお買い上げしてくださったそうで。

ツネちゃん、メッチャ嬉しそうでした♪

そしてそんなツネちゃん、アワード獲得です♪

ROLLER MAGAZINE満永氏のHarleyでボディワークを担当してました。
おおぉ、ツネちゃんおめでと~♪
あれ、左隣のピースサインの人物は

STILL ROLLIN'の築木さんじゃないですか(笑)
この車体のクロームワーク担当だったのですね。
お二人ともホントおめでと~&お疲れさま~♪
にしてもツネちゃん超嬉しそう(笑)


で、ベストドメスティックで合同コラボで造ったあのDT250が獲得。
おおぉ野呂さんケンタおめでとう♪

ってかケンタ、一晩で大きく戻ってた、よかったw
ってかケンタ、会場のどこ居ても理解る位目立ってて便利だったんだけど


ピートバーンズにしか観えなかったっす。



で、46さんベストヨーロピアン獲得♪
ね?言ったでしょ?
ワタシはアワード引受人だ、って(笑)
ってのはウソですw

ワタシゃ特に何もしとりません。
只ビルダーの思い描く頭の中の完成図を汲み取って
それをビルダーの歓ぶがままに目の前に具現化して完成させてるだけ、です。
今までペイント関わらせて戴いてアワードを獲得した車体が結構ありますが
それは全部ビルダー自身がもう頭の中で凄い完成図を持っていたからです。
46さん、ホントにおめでとう♪

にしても多摩地区こぞってアワード獲得、か。
あ、でもケンタは今は埼玉の川口だし
46さんは山梨だから多摩地区ってワケじゃあないんだけどね。
でもここで「はぶんちょ」にすると結構46さん寂しがるから
このまま多摩地区呼び名でいいんかいの?(笑)
とにかくWEST TOKYOの仲間たち、新年会は宴じゃな♪
みんなお疲れさま&おめでとう!!


受賞も確認しロッドショーも終わった日曜日の夜。
真っ先にワタシがした事は
このままカミさんと中華街直行で夫婦水入らずで祝杯デス。
この数か月仕事詰めで人としての生活時間も崩壊してたワタシを
健康損ねる事無く家庭も守ってくれたのは外ならぬカミさんです。
もうウチは子供らも結構大きいから留守番も可能だから、ね。
久々に感謝の気持ちを込めて夫婦でデートして参りました。
すんませんがこんな生き方しか出来ない旦那、
ホントご迷惑お掛けしますが何卒これからもよろしゅうに(苦笑)






本日の後日談。
ロッドショー前に仕事してたVELOCETTEのタンク。
磨いて最後の仕上げ剤でポリッシュ、と思ったらそのコンパウンド無い。
「うおぉ、あれ無いと黒鏡面なんて仕上がらねぇぞやべえぇぇぇ」
とパニくったワタシは超大慌てで材料屋に℡。
「S君!!仕上げ剤無い!!マズい!!超マズい!!このままだと自決しちゃいそう!!」
電話先で材料屋のS君、
「社長!!落ち着いて!!ロッドショー!!ショーの会場にそれ持って行きませんでした!?」
土曜日持って行った箱の中にそれ、あった(苦笑)
何でワタシがそれ持って行ったって理解ったんだろう?
「社長、仕上がりに絶対の拘りあるから会場に持ち込んで磨いてると思ったんすよ」

っきしょう、ワタシの周りには出来る子ばかりで
いけすかないねぇぇぇ(惚)






おわり(笑)